杉原千畝 スギハラチウネのレビュー・感想・評価
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改めて勇気ある決断に大感動!そして戦後日本外交の大きな損失。
杉原千畝さんを初めて知ったのは、もうかなり前、関口宏さんの番組「知ってるつもり」。日本版シンドラーと紹介され、なんという勇気ある決断に、こんな日本人がいたのかと驚きと感動したのを今も覚えている。
外国の切手の肖像画に使われたり、外国のある通りの名前に使われた日本人はいるのだろうか、杉原さん以外にあまり聞いたことがない。
杉原千畝さんを演じる唐沢寿明さんが素晴らしかった。
また、あの再開のシーンは、目頭が熱くなってしまった。
ユダヤ難民を助ける上で、杉原さんが、最大のキーマンであるのは言うまでもないのだが、尺こそ短いが、本編でも登場する
二階堂智さん演じるウラジオストク総領事代理の根井三郎さんと、濱田岳さん演じる大迫辰雄さんの二人の日本人や、本土に着いてからも、杉原さんが発給したビザが引き継がれたことも忘れてはならない。
根井総領事代理が口ずさむ。
「人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして、報いを求めぬよう」
後藤新平さんが制定した、杉原さん、根井さんの出身校でもあるハルピン学院のモットー。
同じ出身校の二人が・・・、なんという偶然なのだろうかと感動させられた。
根井さんにしてみても、直接、言葉でのやりとりがなくとも、旧知の杉原さんが発給したビザが、どういうものか、または、どういう思いなのか、全てを物語っていたのだろう。彼が乗船許可を出すのも、これまた、勇気ある決断だと思う。
また、本編を拝見して驚かされたのが、
杉原さんのインテリジェンス・オフィサーとしての情報収集能力と分析力。
確か、小日向文世さん演じるドイツ大使とのあるやりとりで、ことごとく、日本のこれからの起こるであろう出来事をズバリ推察していた所など、極めて優秀だったことが伺える。
こうした現場の優秀な外交官を持ちながら、処理、判断できない軍部による政府が、当時の最大の不幸だったかもしれない。
日本をより良い国にしたいと思う気持ちは、戦中だけでなく、戦後もあったと思う。だが、形は外務省を依願退職のようだが、本編でも助かったユダヤ人が、外務省に杉原さんを訪ねてきたときの役人の対応ぶりでも分かるとおり、ビザ発給の責任をとって辞めさせられたに違いない。あの冷遇ぶりは、人として腹立たしい限りだが、杉原さんのような外交官を失ったことは、日本外交の大きな損失ではなかろうか。
何故ならば、彼の優秀な外交能力は、占領された今後の日本の行く末、東西冷戦時の重要な外交交渉などに、遺憾なく発揮されたのでないかと思うからだ。
タラレバの仮定のことを言っても始まらないのだが・・、本編とは関係ない所ではあるが、なんか残念な気持ちになってしまったのも事実である。
杉原千畝が息子に尋ねるシーンがある。「次はどこの国に行きたい?」
土曜日の1回目で劇場はゆったりとしている。
客入りは30人くらいだろうか。
序盤で、唐沢寿明(杉原千畝)が妻になる小雪(杉原幸子)と出会うシーンがある。
小雪(杉原幸子)の兄はなぜか、板尾創路である。
「日本のシンドラー」とも呼ばれた外交官・杉原千畝の10数年を描いている。
杉原千畝が日本政府を騙してでもユダヤ人を救おうとしたことを淡々と描く。
映画の舞台は満州国からリトアニア、ドイツ、、最後はロシアにまで及ぶ。
上映時間は139分と長い。
ストーリーは起伏に欠ける。
しかし眠くなったり、つまらないということはない。
ドラマチックなシーンは数箇所。
個人的には、
杉原千畝の旧知でウラジオストックの日本領事であった根井三郎とユダヤ人の会話のシーン。
ユダヤ人たちを乗せた日本の船・天草丸が駿河湾の沖にたとりついたシーン。
杉原千畝が最後に自分の息子に尋ねるシーンがある。
「次はどこの国に行きたい?」
答える息子。
「日本。
行ったことないから」
満足度は5点満点で3点☆☆☆です。
内容は素晴らしいが、タイトルに違和感
杉原千畝という外交官の半生を辿りつつ、第二次世界対戦前後の世界を描いた作品。
とても個人的なようで、実は普遍的なスケールが大きい映画だと思いました。
そのバランスが良く、あの時代の空気がリアルに感じられた気がします。
唯一の違和感は、タイトル。。
彼の名誉回復という意味もあるのでしょうし、確かに杉原千畝さんの映画ですが、もうちょっと何かなかったのでしょうか。。。
個人的には政治とカネの匂いすら感じます。
杉原さんを知らない若者にこそ見てもらうべきだと思うのですが、彼らを遠ざけるタイトルかと。
もっと魅力的なタイトルなかったんでしょうかね。
とはいえ、役者も素晴らしく、良い映画でした!!
色々考えさせられる。
戦争に突入していく時代、そして戦中戦後という時代背景に、本人に課せられた任務をどこまでどの程度までやるべきかという苦悩。しかし人間としての良心を選び、任務から逸脱することを選ぶ。一方で任務を課した人は、立場が違うがために、結果として間違えてしまう。
それぞれの立場が違うから、誰が間違っているなんて軽々しく言えない。この千畝さんも多くの命を救い、人間として評価されるべきことをした。それは間違いない。でもその時代、違う立場からみたらいけないことだと言う人もいるはず。今の平和な時代だから美談なのかも。
自分も同じ状況なら同じように多くの人を救いたい。だけどあの時代に(今の時代でも)、同じことができるだろうか…。
誰にでもできることじゃないから、歴史に残るんですけど。
そんなことを考えさせられた、難しい映画でした。
戦後70年。でも(日本人の)WGIP洗脳はどうやら解けてないようで残念です。
現在劇場公開中ですが、歴史上の人物だからネタバレもないっしょ?と思います。
やや、がっつり目に書きます。宜しくお願いいたします。
数年前に、"歴史上の「惚れてまう男」を描いた書籍を10作品紹介する"という仕事を受けました。
その中で、杉原千畝氏の奥様:幸子さんが書かれた、『六千人の命のビザ』を紹介させて頂きました。
作者が奥様だけあり、立派な"夫""父"として描かれ、その時代の緊迫感や、それこそ男の色気みたいなのは感じませんでした。そこがちょっと残念だったのです。
が、本作はエンタメ度がプラスされていますので、杉原氏、やばいです。
いや、唐沢さん、すげ。色気があります!
ボンドなんか目じゃねー!あいつ、やった…、あ、失礼!親密な関係にあった女性を助けないし。
走り方おかしいし(腿上げすぎだし)。
体硬そうだし。
ドヤ顔笑えるし。
でも、久々に背中に縋りたい!と思った男性に出会えました。
私の中の"2015年いい男ランキング"ダントツ1位は、唐沢さん演じる杉原千畝氏です!
戦後70年のこの年、いくつかの第二次世界大戦をテーマにした映画が作成されました。
『この国の空』
『日本のいちばん長い日』リメイク
『野火』リメイク
『あかあさんの木』
『息子と暮らせば』
などなど。すみません。全部観ていません。
しかし、戦争の定義すら変わってしまった現代では、果たして過去作品のリメイク、今までの戦争映画と同じ切り口の(WGIP的な)映画が、現代において「反戦映画」となり得るのか疑問でした。
戦争の対義語は"平和"です。
しかし私は、戦争の対義語は"外交"そして、特に現在では"安全"だと思っています。
本作は"外交"がいかに大事か、世界情勢を見極め、時に他国と協調し、時に距離を取り、国としてどこに立つか?が、どれだけ大事なのかがテーマだと思います。
しかしどこに立っても、決して世界の中で孤立してはいけないです。
でもネット上では、WGIP的な映画を本作にも求める方が多いようで、洗脳って怖いなぁーって思いました。
さて、本作は、第二次世界大戦勃発間近の緊迫した世界情勢の中で、日本軍に乗っ取られた外務省の目をかいくぐり、ドイツ軍のゲシュタポに脅されながらも、良心に従ってユダヤ人に多くのヴィザを発行した、杉原千畝氏の半生の映画化です。
日本のシンドラーと呼ばれる杉原氏ですが、ちょっと違うと思うんです。
映画の中では、「お前は最低の外交官だったが、最高の友人だった」と言われるシーンがあります。
いやいや、杉原氏は最高の外交官だったと思います。
いや、最高の国際政治学者だったと言っても過言ではありません。
日本がドイツと同盟を組むのに反対し、世界という名の車輪が回ってヒットラーが下になる時が来る。国力のない国が孤立し、そして調子にのるとどうなるか。日本軍はアメリカに戦争を仕掛け、今までにないくらい打ちのめされると読んでいました。国際情勢を読んで、今後きっと車輪の上になる方達にヴィザを発行したのだと思います。
杉原氏には、優しさと同時に冷静な目を感じました。
そこ、シンドラーさんとは大きく違います。
いくつかの印象的な台詞があります。
その一つは、"世界は車輪。回り続けている"という箇所です。
今は上になってる国が、下になる。
国力のない国が諸外国並に国際社会を生き残っていく為には、車輪の回りを見極め、某国との同盟関係、周辺諸国との関係、そして何より世界の常識を踏まえて、その都度ベターな判断をしていかなくてはいけない。
世界は回り続けているが、果たして日本はそれを見極めているか?
孤立してはいないか?あの時のように。
そして、もう一つ。
杉原氏が帰宅して日本を憂いて眉間に皺を寄せている時、奥様は明日のパーティに着ていくドレスをのほほーんと選んでいます。
どんなに緊迫した空気の中でも、奥様だけは美しく柔らかく微笑んでいます。なんて浮き世離れした方!しかしそんな奥様を、杉原氏は愛おしそうに「君は変わらないな」と安堵のため息と共に抱きしめるんです。
どんどん変わって行く世界で、奥様だけは変わらない。
そこに男性は、ほっとするんでしょうか。
こんな奥さんでいたいなぁ。あ、無理だけど(笑)
単なる感動秘話ではなく、テーマを噛み締めて貰いたい作品でした。
杉原千畝を知らない人には鑑てほしい
戦争は様々な視点があることを今一度再確認させてくれる作品。
主に1930~40年代の知識を持っていることで、より深く楽しむ事が出来る為、対象は高校生以上に限られてしまうのであろうが、若い世代にも是非一度鑑てほしい内容になっている。
映画とし物足りない
映画は戦前から終戦までの約10年間の杉原千畝を追っているが、繋がりのないエピソードの積み重ねにすぎず、人物像は出せているがテーマが散漫で何をやろうとしているのかが分からない。
そのためクライマックスとも言うべき、ビザを発行するに至ったのかは、心情の描かれ方が弱く、ユダヤ人の執拗な祈願に押されただけに見えてしまう。
出てくる日本人はとてもいい人ばかりなので簡単に杉原の思いに共同してしまうのはドラマが無くて物足りなさを感じる。
悪として描かれているロシアやナチスは典型的で、しかもストーリーには深く絡んでこない。
そう、この映画には映画らしいドラマと魅力的人物がいないのだ。
正義感が強い良い人=杉原千畝とその周囲の人々に、日本人の誇りです!と感動するのはいいがそれはとても浅いと言わざるを得ない。
杉原千畝が政府を騙してでもユダヤ人を救おうとしたことは驚くべき事だが、それ故の動機と苦悩、葛藤をもっとエピソードを絞って描くべきだった。映画なのだから脚色してもいいじゃないか!詳しく知っている人などどうせいないのだから。
それが出来ない、または葛藤が無かったら、杉原千畝は脇役にして、それこそ生き地獄を見てきたユダヤ系リトアニア人を主人公にして作るべき物語だと思う。
この出来ならTVドキュメンタリーで十分です。
歴史を変えた日本のボンド
実在した日本の天才諜報員ということで、映画のなかでも007並に諜報活動します。ちゃんとボンドガールも登場(たぶん架空の方?)します。本当にここで描かれた歴史は残酷で、自分の立場を危うくしかねない状況でのビザを発行する姿は本当に素晴らしかったです。
色々な視点が…。
当時の戦時の真っ只中にこのヴィザを発行しつずけたことは今聞かされると美談だし、感動ものだし、すごい決断力と勇気だったとは思う。けど、発行したことによる影響力も大きすぎるだろうから一概にただうなずくだけでは終われない話だよな~、と思う。
‘ただの紙切れ’というセリフが多用されているけど現実は重過ぎる紙切れ。命に関わるんだから。
杉原千畝の話って、全然知らなかったので映画という手段で広く知れ渡ったことにはすごい意義があると思うのでした…。
〝紙切れ1枚”が救った命。壮大なスケールで伝える、命の尊さ。
【賛否両論チェック】
賛:戦争下、〝紙切れ1枚”で救える命があったこと、そしてその命を政府に背いて救い続けた主人公に驚かされ、感動させられる。戦争の悲惨さを、マクロな視点から痛感。
否:戦争による虐殺シーンなんかが結構あるので、苦手な人には不向きかも。上映時間もやや長めか。
最初は、
「モスクワに行って、ソ連という国を知りたい!!」
という一心で仕事に明け暮れていた杉原が、戦争による世界情勢の悲惨さを知っていくうちに、次第に人々を救うことで〝世界を変える”力になっていく姿が、感動を誘います。杉原自身、ビザを度々〝紙切れ1枚”と呼んでいて、そんな紙切れでも政府に背いて発給を続けたことで、多くの命が救われたという事実にも、命の尊さを痛感させられるようです。
一方で、杉原でも助けることが出来ず、最終的には強制収容所に送られてしまった人々の姿も描かれ、戦争の悲惨さも改めて考えさせられます。また個人的には、そうした一連の杉原の功績が、つい最近まで評価されず、外務省もその存在を伏せていたという描写にも、驚かされました。
虐殺のシーンもあり、気軽に観られる映画ではありませんが、戦争や命についてマクロな視点から考えさせられる、そんな作品です。
丁寧な作りの人物に焦点を当てた歴史物語で感動出来た。1986年迄在...
丁寧な作りの人物に焦点を当てた歴史物語で感動出来た。1986年迄在命されてたって事実が一番の感動。唐沢寿明が日本人の良心と俳優像を体現している感覚だった。海外映画に出て欲しい。
歴史観変わりました。
元来、歴史物が好きなのである程度の予備知識はあったのですが、完全に認識不足でした。
特にユダヤ人への各国の対応や、細かい部分ですがオランダの植民地に関すること等々新たに知ることもあり、あっという間に2時間半が過ぎていきました。
当時のドイツ(ナチスと言った方がいいでしょうか)によるユダヤ人迫害は歴史に興味のない方もご存知だと思います。
しかし、その周辺状況までは知らないのではないかと・・・。。
なんかお堅い話しになってしまいましたが、そういった面があるのも事実です。
ですがその反面、人間ドラマとして楽しめます!!!
絶対お薦めです。
ノンフィクションではない
ご注意下さい
・本国の指示に逆らい独断でビザ発行した
→当時の政府は最終目的地たる諸国の入国許可手続きを完了した者に限り発行を許可する訓令を出しています。(そもそも本国が許可しないと出先でビザ発行出来ないし入国も出来ない)
・本国の指示に従わなかったため戦後職を失った
→占領下に置かれた国は外交を行うことが出来なかった。(人員整理による依願退職。カウナス領事館引き上げ後も7年外務省で勤務)
当時の日本政府は反ユダヤでひどい
そのような印象を受けるので、どうか誤解なさらないように
センポのビザ
第二次大戦時、ナチスドイツの迫害を受ける多くのユダヤ人を救った人物と言えば、スピルバーグ映画で知られるオスカー・シンドラーが有名だが、日本人にも居た。
かねてから杉原千畝の事は知っており、(短編ドキュメンタリーはあったものの)映画化すべきと思っていたので、この冬密かな待望作!
「めぐみ」「太陽」とは違い、ちゃんと日本映画として作られたのが嬉しい。
自分はいわゆる戦争を知らない世代。
だから、当時、どんなに日本が愚かだったか、ナチスの悪行やユダヤ人についても映画などで知り得た知識だけ。
何も知らない自分がとやかく語れる立場じゃないが、一個人として言える事は一つ。
人が人の命を救う行為は、昔だろうと今だろうと戦時中だろうと変わらず尊い。
例えそれが独断でルールに反していようとも、後世ではどう評価されているか。
6000人の命の子孫は今、4万人以上。
この数字が英断の全て。
外交官として諜報活動も行っていたという杉原千畝。
ちょっとお堅そうな題材に、スパイ映画のようなエンタメ性を加味している。
自分の目で見て収集・分析した世界情勢、日本の行く末。
祖国愛、数ヶ国に堪能など、知れば知るほどその人物像が面白い。
こういうストイックな役をやらせたらピカイチな唐沢寿明。
昨年の「イン・ザ・ヒーロー」の肉体改造は大変だったろうが、現地の俳優と半分以上の非日本語で堂々と渡り合う今作もキャリアにおいて特に記憶に残るもの。
2年連続の良作良役。
また、杉原千畝をサポートする現地の役者も好演。
史実に忠実にというよりかなり映画的に脚色、にも関わらず全体的には少々華に欠ける。
また、杉原千畝の妻役である以上居なくてはならないが、一人派手に着飾っている小雪だけ現実味ナシ。
…など難点も目立つが、終戦70年の意欲作。
杉原千畝の強い信念。
世界を変えたい。
たった一人が世界を変える事は出来ないが、たった一人が多くの命を救う事は出来る。
それこそが本当の世界を変える力。
昔、杉原千畝を初めて知った時、非常に感動した。
日本人としてだけじゃなく、一人の人間として。
若い人たちにこそ、こういう人物が居た事、そして尊い何をしたかを見て、知って貰いたい。
するべきことをする
唐澤寿明の演技が光りました。過去に同様の映画はなかったと思い、こういった過去に光を当てたことに意義があると思います。
常に何が正しいのかは、簡単にはわからない時代なので、その一助になるかとおもいます。
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