杉原千畝 スギハラチウネのレビュー・感想・評価
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自分にとって正しい道を
第二次世界大戦下で外交官として異国の地で日本の為に尽力した杉原千畝。私自身、彼の名とユダヤ難民を救ったという話に聞き覚えがあったという程度で、彼の功績をきちんと理解していなかったが、戦争を知らない1人としては、戦後70年の時期にこの作品と出会えたことは非常に意義があったように思う。
少し説明不足な点もあったので、当時の情勢などを知っている方が話を掴みやすいとは思うが、歴史に興味がない方でも、杉原知畝という人物を通して当時の各国の状況や戦争の残酷さなどに触れることが出来るだろう。
特に小雪さん演じる杉原千畝の妻が、古くの日本人妻のイメージとぴったりと重なっていて、多くは語らずとも千畝をそっと支える様子がとても感動的でした。
グローバルな日本人
とても心が温まる。私の考えであるが、日本人は言葉の壁そして心の壁をどうしても周囲の人々の間に作ってしまう。この為個人的な好き嫌いがとても激しくとても狭い世界の住人になってしまう。戦中の日本人は有無を言わさず国家間の競争で、今とは違うがとても厳しいが不思議なグローバル環境に投げ出されていた。このあたりがとても上手く描かれる。監督、言語そして撮影地など国際色が反映されているからであろう。反面このバランスが嫌いな鑑賞者もいるに違いない。映画の好き嫌いがこの辺で分かれる映画でもある。また、杉原千畝氏のような国際人が私の郷里でもある岐阜の片田舎から出ているのにも嬉しい驚きである。学費のためか満州のハルピン学園を卒業。当時の外務省では冷ややかな目で見られがちなノンキャリアの語学エクスパートとして汚いスパイまがいな仕事をさせられるが活躍した。しかし組織では誰もこの活躍をあまり功績としては認めたくない。この階級制が色濃く、後見人もいなかった組織で喘ぐ。その中で普通では出来ない素晴らしいが組織に楯突く決断が出来た。この運命の皮肉さに感銘する。と同時に色んな事を考えることができるとても面白い映画になっている。さらに、真っ当な生き方を熱演した唐沢さんのみならず小雪さんのどこか洒落た奥さんも魅力的でした。外国の俳優さんも伝わるように上手く熱演していました。
史実?、映画?
ユダヤ人が虐殺されるシーンが、あります。その時、若い兵の目が、怯えているんです。なんで、民間人に、発砲するの?って。ところが、後半…。人は、少しずつ、おかしくなるんですね。狂気を纏うことでしか、生存できない世界で、正しい義を貫くことの大変さ。確かに、史実としては、?があるかも。でも映画としては、正しいと思います。この国が、よその国に、敵意を抱いた時、あなたは、どうします?って云う問いかけですね。センポに、なるのか、小日向さん演じる大使になるか、怯えた兵士になるか、あるいは、訳も聞かされず、自動小銃の的になるか、決めて下さいって云う、問いかけです。
時代は車輪
ちょっとフィクションが過ぎるのでは?
宣伝にもあったように、「誰も知らなかった杉原千畝」ではありましたが、外交官よりも諜報員がメインであったような描かれ方や、日本の戦争の結果を予測していた、などはちょっと虚構が過ぎ、かえって本来の杉原千畝さんの姿から遠ざかっているように思います。
それよりも、腱鞘炎になりながらもビザ発給を続けた事、ビザを2139枚発給した時点で記録を止めてしまった事(つまり、それ以上に多くの人命が助かった可能性が高い)、列車の中でもビザの発給を続け、列車が出発した時は群衆に向かった謝罪の言葉を述べた事など、史実として残っている話を描かなかったのは、なぜなんでしょう?
1番の名シーンになるはずのビザ発給の場面に、緊迫感が全く感じられないのも頂けません。
この作品で杉原千畝さんを初めて知った人は、これが杉原さんの本当の姿とは、思って欲しく無いですね。
それなのに、題字は「杉原千畝」そのままとは…。
色々な意味で、ちょっと残念な作品でした…。
誇りに思える日本人!
あの時代の日本人に、あんなに誠実で、心優しい人がお役人にいたなんて>_<
数年前、知人が自分の子どもの名前に千畝とつけて、読めないし、意味わからないし、と思ったら、立派な日本人から名前もらったんだーと言われ、気になり観に行きました。
システムだー、お金だーと毎日うねうね考えてる自分がちっちゃく思えました。
お金にならなくても、時間、労力を惜しまず、人のために動けた千畝さんの人間の大きさに感動しましたー>_<
「杉原千畝」を観て
本来のテーマからそれているような?
頭脳明晰な人
私だけでなく誰でも知っている「杉原千畝」と思い見たのですが、鑑賞後に見て本当に良かったと!小さい頃から成績優秀だったが、やはり先見の眼もあり鋭い。そして間違った道へは行かない。この人の生き方を見ていてはっきりわかった事、それは、幾ら大きくて強い組織で力を横暴に振り回しても、間違った方向性のものなら必ずいつかは滅びる。いつも冷静に私情を挟まず私利私欲に走らず生きれば、結果本人が望もうとそうでなかろうと大成を成し遂げるし又人からの信頼をも得ると。今の時代にも通じますね。そして、この人の奥様も素晴らしい。今の日本に比べて、平和でなかった当時の外務省役人に付いて行った奥様は覚悟も必要でどれだけ大変だったかと思えば、同じ女性の眼からみて尊敬畏怖の人です。最近読んだ本の中で著者が言うには「日本は年が上ならどんな人でも敬われ、逆に有能なのに若いという理由で(しかも大して地位も無いから)意見を聞いてもらえないのは残念な限り」と。関東軍やヒトラーの行く先が見えていたこの人の意見をもっと日本政府が聞いていたら敗戦はなかっただろうにと、この映画では見せています。劇場には予想以上に若い人達が多くて嬉しかったです。逆に、もし年配者は日本政府を批判されているようで嫌で少なかったなら高齢者が増える時代に寧ろ危機感さえ感じます。私も含め年をとっても頭を柔らかくシャープに感性を保てれば嬉しいです。
日本人の誇りかな、
映画で拍手、スタンディングオベーション
「杉原千畝」を観て・・
威風堂々
とても良い映画だった。
僕は、この人物を知らなかった。
海外の方が認知度が高いみたいで、彼の名を冠した道などもあるみたいだ。
彼の裁量によって救われた数々の命…その功績がなぜ日本では評価されなかったのか、その理由にも触れていて好感がもてた。
しっかりと、そこの理由も読み取れるようになってる。
だか、彼の生き様たるや…骨太なのである。
人間ってのは、ここまで強く、優しくもなれるものなのかと感嘆する。
スパイという背景があるかもだけど、何カ国もの言語を操り、決して諸外国に劣る事なく、怯まず。また、不条理な蔑みを受ける事もなく、彼の半生にこそ「人に優劣などない」と雄弁に語っているようだった。
そうだ。
この時代の人達は敗戦という十字架を背負ってはいなかったのだ。卑屈になる理由がない。
「世界は一つ」
そして
自分もその世界の中で生きている1人なのだと、観ながらに思えた。
世界はどんな風に転がっていくのだろうか?
その流転していく世界を見つめ、参加していく為にも「言語の壁」などはとっとと越えておくべきだと思えた作品だった。
唐沢さんの、真摯な人物への向き合い方に、感服した。
決して担ぎ上げられる事なく、しっかりと作品の中に根をはり、立ってた。
そんな印象を受けた。
折に触れて
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