「たいへん勉強になりました」杉原千畝 スギハラチウネ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
たいへん勉強になりました
杉原千畝がビザを発給して多くの人を救ったことは広く知られていて、自分もその程度のことは知っていました。しかし、それがどのような社会的背景の中で行われていたのか、彼がどのような思いでビザの発給を決断したのかは、本作を通して初めて知りました。また、彼がきわめて優秀なインテリジェンス・オフィサーであり、独自の情報網を構築して国家に重要な情報をもたらしていたことも、今回初めて知りました。
本作では、杉原千畝の今まであまり知られていなかった仕事ぶりや家庭人としての側面が描かれ、本当に勉強になりました。ただ、彼の足跡を総括的に描こうとするあまり、作品としての感動的な山場が失われてしまったように思います。まあ、そこまで描こうとすれば、1本の作品には収まらないだろうからしかたないですね。かといって、「命のビザ発給」だけにスポットを当てれば、知られざる一面が描けなくなってしまう。そう考えると、本作は妥当な落とし所だったのかもしれません。いずれにせよ、彼の功績を再評価し、同じ日本人として誇らしく思える、まずまずの作品だったと思います。
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