劇場公開日 2015年12月5日

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「グローバルな日本人」杉原千畝 スギハラチウネ ヤマザマンさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0グローバルな日本人

2015年12月23日
iPhoneアプリから投稿

とても心が温まる。私の考えであるが、日本人は言葉の壁そして心の壁をどうしても周囲の人々の間に作ってしまう。この為個人的な好き嫌いがとても激しくとても狭い世界の住人になってしまう。戦中の日本人は有無を言わさず国家間の競争で、今とは違うがとても厳しいが不思議なグローバル環境に投げ出されていた。このあたりがとても上手く描かれる。監督、言語そして撮影地など国際色が反映されているからであろう。反面このバランスが嫌いな鑑賞者もいるに違いない。映画の好き嫌いがこの辺で分かれる映画でもある。また、杉原千畝氏のような国際人が私の郷里でもある岐阜の片田舎から出ているのにも嬉しい驚きである。学費のためか満州のハルピン学園を卒業。当時の外務省では冷ややかな目で見られがちなノンキャリアの語学エクスパートとして汚いスパイまがいな仕事をさせられるが活躍した。しかし組織では誰もこの活躍をあまり功績としては認めたくない。この階級制が色濃く、後見人もいなかった組織で喘ぐ。その中で普通では出来ない素晴らしいが組織に楯突く決断が出来た。この運命の皮肉さに感銘する。と同時に色んな事を考えることができるとても面白い映画になっている。さらに、真っ当な生き方を熱演した唐沢さんのみならず小雪さんのどこか洒落た奥さんも魅力的でした。外国の俳優さんも伝わるように上手く熱演していました。

ヤマザマン