「映画とし物足りない」杉原千畝 スギハラチウネ じゅんぢさんの映画レビュー(感想・評価)
映画とし物足りない
映画は戦前から終戦までの約10年間の杉原千畝を追っているが、繋がりのないエピソードの積み重ねにすぎず、人物像は出せているがテーマが散漫で何をやろうとしているのかが分からない。
そのためクライマックスとも言うべき、ビザを発行するに至ったのかは、心情の描かれ方が弱く、ユダヤ人の執拗な祈願に押されただけに見えてしまう。
出てくる日本人はとてもいい人ばかりなので簡単に杉原の思いに共同してしまうのはドラマが無くて物足りなさを感じる。
悪として描かれているロシアやナチスは典型的で、しかもストーリーには深く絡んでこない。
そう、この映画には映画らしいドラマと魅力的人物がいないのだ。
正義感が強い良い人=杉原千畝とその周囲の人々に、日本人の誇りです!と感動するのはいいがそれはとても浅いと言わざるを得ない。
杉原千畝が政府を騙してでもユダヤ人を救おうとしたことは驚くべき事だが、それ故の動機と苦悩、葛藤をもっとエピソードを絞って描くべきだった。映画なのだから脚色してもいいじゃないか!詳しく知っている人などどうせいないのだから。
それが出来ない、または葛藤が無かったら、杉原千畝は脇役にして、それこそ生き地獄を見てきたユダヤ系リトアニア人を主人公にして作るべき物語だと思う。
この出来ならTVドキュメンタリーで十分です。
>浮遊きびなごさん
ありがとうございます。修整しました。
>Junichi
そうですね。
ただこの映画の場合テーマが見えなくなってしまい混乱しました。
戦争に反対しているが、自分に出来たのはユダヤ人難民を助けることだけ…。
そんな空しさ、焦り、苦悩、葛藤をドラマチックに浮き彫りに描いて欲しかったです。
エピソードを積み重ねていく手法は映画的にマイナスにはならないと思います。映画らしいドラマがないというご指摘も好き嫌いの問題で、僕はむしろ映画らしい語り口を随所に感じて満足しました。
映画らしいって、ドラマチックなストーリー性よりも、語り口というか演出の良さだと思うのです。
はじめまして、浮遊きびなごと申します。
老婆心ながら、
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横から失礼致しました。