ラブストーリーズ エリナーの愛情のレビュー・感想・評価
全15件を表示
異訳だよー。インスパイヤー『Moomin and the Winter Snow』
こっちが後だ。
『あの孤独な人々を見なよ
教会の結婚式は終わり、サ◯メちゃんは夢見る様に幸せを願ってライスを拾い集めている そして
部屋に入ったすぐ横の海泡石の箱に大事にしまってある口紅を付けて
誰も来ないのに出窓にちょこっと座り、誰かがやってが来るのを待っている
みんな孤独なのに
誰がどこから来ると言うの?
みんな孤独なのに
私はどこに居たら良いの?
誰も相手にもしてくれないのに
無駄なお説教を、ヘム◯ンさんは考えている
ほら見なよ、誰もいない孤独な夜に、
靴下の穴までを縫っているぞ。
ヘム◯ンさんは何を気にしているんだ。
みんな孤独なのに
誰がどこから来ると言うの?
みんな孤独なのに
私はどこに居たら良いの?
あの孤独な人々を見なよ
サ◯メちゃんは住まいの教会で死に
サ◯メの名とともに埋葬された
参列者はいなかったけどね
ヘムレ◯さんは、
彼女の埋葬の時に汚れた手を洗い、サ◯メちゃんの墓地から去っていった
そうさ。ヘムレ◯さんもサ◯メちゃんもそして誰も救われなかったのさ。
みんな孤独なのに
誰がどこから来ると言うの?
みんな孤独なのに
私はどこに居たら良いの?』
映画は見事にその話を裏切って終わっているよ。
エリナーは聞く。『他の女性と寝たの?』
大切なものは簡単に壊れてしまう
まず、本作を観る前にコナー編を観たわけだけど、時間軸的にもそれで良かった気がする。
コナー編のレビューは旦那が担当していて、男性の目線で二人の物語を読み解いたあたり、本当に考えてることが違うんだなと思う。
邦題が「ラブストーリーズ」となっているけど、原題は直訳すると「エリナーの失踪」(disappearance of eleanor rigby)。
だから、どちらかと言うとエリナーがコナーの前から姿を消した理由を探る物語なんだよね。
そういう意味でもコナーの物語で消化不良だったエリナーの行動をじっくり考えられたし、2回目を観るような感覚でストーリーに入っていけたのは大きかった。
やっぱり私は女だから、エリナーの気持ちに寄り添って観ている事になるのかな?
男と女とで、考え方や出来事の捉え方が全然違う、ということが同じシーンの微妙な差異で表現されてるところが面白い。
二人は子どもを亡くした夫婦なわけだけど、エリナー的にはコナーが目に入るたび、亡くした息子を思い出して、辛さが蘇ってくる。多分辛さを他の事で紛らわしているコナーに、ホッとする気持ちと不満とが入り混じって苦しくなる。
それを誤魔化すために選んだ道が、コナーを見なくて済む、コナーの前から消える、コナーを「なかったことにする」道なんじゃないか、と思う。
出会わなかったら歩んでいたかもしれない、もう一つの人生。もう一つの私。
その一方で、子どもを思い出すような「何か」がある度に、その奥にあるコナーを想う気持ちが胸いっぱいに広がってしまう。
こんなに複雑怪奇な女心を、説明も少なく行動や表情で魅せてくるんだから、監督も演じたジェシカ・チャスティンもすごい。
物語の中でエリナーを導いているのは、色々な形の親子関係なように思う。この辺り、やっぱり女性らしいな。
直接的な刺激や助言に影響されるより、小さな事の積み重ねが大きな感情を作っていく傾向があるように思うのね。私にもそういう部分はある。
で、そういう色んな欠片の積み重ねこそが、逃れられない「自分」なのだと受け止めたとき、大切なものは何なのか?を受け入れることが出来たんじゃないかな。
どうせ観るなら、是非2作品とも観て欲しい。
二人の涙と愛情が、細やかでとても美しい。
愛の再生
ある夫婦の別れから再生を、男女それぞれの視点から描いた大人のラブストーリー。
本作は、ジェシカ・チャスティン演じるエリナーの物語。
いきなりだが、男性視点のコナー編より良かったと思う。
一応同じ物語なのに、これも男女の感性・価値観の違いか。
それもあるだろうが、コナー編が未練タラタラの冴えない話だったのに対し、こちらは一本の作品としてドラマ的にも展開的にも見るものがあった。
夫婦に溝が入り、別れる事となったきっかけ。
子供の死。
特にエリナーの悲しみは深い。
開幕早々、ある行動をする。
家族の支えで何とか立ち直る。
父の勧めで大学の講義を受ける。
髪も切る。
過去を断ち切り、再スタートした筈だったのに…、コナーと再会。
エリナー側から見れば、ストーキングされたような…。
コナーと居れば、嫌でも悲しい過去を思い出す。
悲しみだけは思い出せるのに、あの子の顔が思い出せない。
当初はコナーを拒みつつも、また再び彼の存在が気になってくる。
やはり彼しか居ないのだ。この悲しみも理解も再生も共有し合えるのは。
ジェシカ・チャスティンがさすがの巧さと魅力。
序盤の悲観、立ち直り、複雑な心境を体現。
着こなすファッションやロングヘアーからのショートカットなどもいちいち決まっている。
両親役にウィリアム・ハート&イザベル・ユペール、大学教授役にヴィオラ・デイヴィスらキャストにも恵まれた。
やはり、二本で一本の作品だ。
こちらがこう思ってる時、あちらでは…。
シビアに思えても、その胸中は…。
一見、コナー編を見てからエリナー編を見るとより深みがあるように感じるが、実はしっかりとお互いを補い合ってる事を感じる。
印象的なラストシーンも、コナー編は切なさを感じたが、エリナー編では仄かな光が見えた。
男と女
同じ男と女のストーリーなのに、エリナー側から観るとコナーはどこか引っ張ってくれそうな"男" を感じ、コナー側から観ると、ただただ女心に振り回される弱々しい(女々しい)男に見えた。それこそが男と女のギャップなのだと思うし、考え方、価値観も異なる それぞれの人間味(?)のようなものを感じた。でもそこには愛が溢れていた切なくも苦しい。どちらにも寄り添いたくなる作品。
がっかり
全く同じ物語を双方から、もしくはもっと明確な食い違いを描くのかと思ったら、思い違いなのか捉え方の違いなのか、はっきりとしない差異が多かった。しかもそれらの役割がさらにはっきりしない。強いて言うならHimの方がマシ。
後に観た
なるほどなるほど…ってどんどん分かってく感じがあって良かった。男の気持ちは思ったより女に伝わってないというか、すれ違いがあった。
今回はコナーからのエリナー観たけど、もっかい何も知らない状態でエリナーからコナー観たら全然気持ち変わりそう
ラストはあれで良かったのかな。ハッピーエンドだと思ってるけど
エレノア…じゃないのかな?
ラストの小さな希望の可能性が、素直に信じられなくなる一本。
1つの男女関係の終了を男性女性それぞれの視点で描いた作品の、女性サイド。
演技・演出はコナー編と並び良し。
是非を問うこと無く、淡々と(コナー編よりは感情的だけどね)描かれる物語も好ましく。
ただ、個人的な感想として…
コナーが「まず相手のことを気にかける」のに対して。
兎も角、「女性が1番好きなのは自分自身」と言うのがシレッと当たり前のように描かれていて…思わず苦笑するしかなく。
だからラストシーンも、信用が出来ない思いに切り替わる訳で。
ソコがまたこの作品の魅力なんだけど…
現実にコレ味わったヤツ、手を挙げろ!!涙
コレまた個人的にも胸に痛い作品。
人の数だけ物語がある
「コナーの涙」を見た2週間後に鑑賞。
2本を比較してどうこう考えたほうが楽しめるので
もうちょっと覚えてるうちに見に行けば良かったなと後悔。
一組のカップルの喪失と再生のお話なのに
男女でかなり印象が違って驚きました。
ラブストーリーだけど
コナーの側は
『 男女の愛 → 夫婦愛 → 家族愛 』
で
エリナーの側は
『 家族愛 → 夫婦愛 → 男女の愛 』
の順で記憶のフォーカスが動いているように見えて
同じ時間を過ごしているのに
心の時間は逆行しているというかなんというか。
その一方で
男女の感性に性差を感じ過ぎて鼻についたのも確かなのですが
マカボイさん曰くそれも意図して制作されたとのこと。
同じシーンでもセリフが違ったり
照明もアングルも違ったり。
車の中で良い雰囲気になるシーンでは
男性側だとロマンチックなのに
女性側だと妻として慰めるついでに…
的な印象がちょっと面白かったし。
2人とも重要なことは自分が言っている、
と思っているのに
I love you. ↔ I know.
のスターウォーズなやり取りは
自分が返したと思っていて
夫婦の絆を感じてジーンときたし。
監督のインタビューを読んだら人の記憶がいかに曖昧で
主観的であるかを表現したかった
的なことを仰っていて唸らされました。
エリナーが子供を思い返すシーンは今もこれ書きながら
泣きそうになるくらい心に迫ります。
考えてみると私の場合は
「コナーの涙」でエリナーの
「笑っているのは思い出せるのに子供の顔が思い出せない」
というセリフから彼女の記憶を想像したうえで
あの
明るいリビングを抜けて子供にカメラが近づくと
ピントががぼやけて何も見えない、
という一見なんともないけど実は
かなりキッツイ映像を見てるからなんですね。
つまり客観的な立場から彼女の記憶を想像した後で
別の映画で
主観的な映像でそれを疑似体験したことになる。
こんなに不思議で悲しい体験を観客にさせるとは
いやはや本当にこの映画凄いなと。
恐らく逆の順で見た方は私とは違った箇所とかで
不思議な体験をしているのでは?
と思います。
あと、
監督がインタビューで子供が死ぬシーンを入れなかったのは
冒険だったけど必要な決断だった的なことを仰っていましたが
大正解だと思います。
入ってたら大層な鬱映画になっていたと思う。
フィクションでも嫌だしずるいとも思うので
死を扱う映画は苦手なのですが
そこを強調し過ぎること無く
描きたいものに焦点を絞った勇気も素晴らしい。
「コナーの涙」のほうが映画としては断然好みなのですが
「エリナーの愛情」のほうが点数が高いのは
2本合わせて見た重みと発見があったから。
一見地味だけど実はかなり深い意欲作!
凄く良い映画でした!
エリナーのラストよかったです
コナー観たとき、観なくてよかったかなと思いましたが、すぐ、エリナーを観たら、同じ状況をエリナー目線で観ることができたのでよかったです。特にエリナーのラストは感動しました♪
時間が取れない人は、エリナーのみがおすすめです。
全15件を表示