「きれいごとで済んだ歴史の一幕」パリよ、永遠に よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
きれいごとで済んだ歴史の一幕
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結局、ドイツの実直な将軍は、手練れのスウェーデンの外交官にうまく丸め込まれたのだ。将軍の家族をナチ政権から守ろうというのは、口から出まかせとまでは言わないまでも、ほとんど何の根拠もない約束だったのだ。まさか、パリ陥落後のドイツ軍の潰走を読んでいたわけでもあるまいに、つまるところ、一家の命と引き換えにパリを守ったということなのだ。
政治的な判断としては間違っていないと思うが、もしもコルティッツ将軍の家族がナチス政権によって処刑されていたら、戦後の二人の感情はいかようなものになっていただろうか。
むしろ、そのような感情のほうが映画の題材としては興味深いものがある。この作品の取り上げた部分は、結果きれいごとで済まされた感がある。
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