「ドレスデンは、どうなの?」パリよ、永遠に 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
ドレスデンは、どうなの?
第二次世界大戦における、ナチス・ドイツによる「パリ壊滅作戦」を巡る駆け引きを描いた作品。
描かれているのは、まさに連合軍のパリ進駐前夜の1944年8月24日深夜から8月25日にかけてのたった一日。ですが見ていると、もっと長く感じました。元々が戯曲であったためか、物語の殆どはコルティッツの執務室で進むんですが、そこでのコルティッツとノルドリングの緊迫したやりとりは、結末を知っていても、中々ドキドキしました。
ところで、この物語では「民間人を巻き込むな。美しいパリを破壊するな」と言う事を言うわけですが、実際には、作品中も言及があったハンブルグ空襲や、このパリ解放後に起きたドレスデン空襲など、連合軍による、民間人を巻き込み美しい街を破壊するような出来事は起きているんですよねぇ。特に、ドレスデン空襲なんかは、徹底的にその街が破壊しつくされていますからねぇ。そういう意味では、パリだけが破壊から免れるべき街だったのか?と言う疑問も感じました。まぁ、この時に破壊されなかったから、いま私達は美しいパリの町並みを見ることが出来るんですけどね。
ところで、パリ解放はこの物語で描かれた1944年8月の出来事なわけですが、ドイツが降伏するのは1945年5月8日なので、その後9ヶ月も戦いは続いたんですね。いやぁ・・・、凄いな。この物語の時点で、ベルリンは結構破壊されているような事を言っているんですが、その後更に破壊しつくされるということなのか・・・。
コルティッツを演じたニエル・アレストリュプはフランス人なのですが、見た目が、いかにもドイツ軍人っぽいのが非常に興味深いです。当然ドイツ語の台詞もあるんですが、ドイツ語の出来はどのくらい?
邦題は『パリよ、永遠に』と非常に叙情的なタイトルですが、原題は『Diplomatie』と、日本語で言う“外交”なんですね。物語で描かれているのは正に“外交”そのもの。なるほどなと思いました。