Mommy マミーのレビュー・感想・評価
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不器用で生々しい親子愛
発達障害の息子と、精一杯息子を支えようとする母。
互いに愛し合っているのだけど、どちらも自分勝手で不器用すぎて、傷つけあってしまう。
貧困だったり障害だったりで、世の中上手く渡れない親子の話。
二人の関係性や、もがく姿がとても印象深い。
親子って何だろうね。
最初画面比率がナンダコリャでしたが、段々と意図が見えてくるとなかなかナルホド。
生涯を通しての大切な作品。
凄い!! 25歳でこれが撮れるグザヴィエ・ドラン…って本当に凄い!
健常者の社会的なルールは、必ずしも誰もが生き易いとは限らない… この枠から外れた3人の登場人物が必死に生きようとする姿が、画面を通して皮膚に脳に心に染み込んできた。
内容だけでなくビジュアルも素晴らしい。1:1の画格は、アーティスティックでボラロイド写真を見るかのようで、どのシーンを切り取っても刹那的で美しい。
またハズしのファッションセンスも最高にCool !!
レオス・カラックスの再来という声もあるようだが、頷けます… しかしカラックスほどヘビーではなく、むしろライトに表現する現代的な感覚は、ガス・ヴァンサントやハーモニー・コリンに近いセンスを感じました。
『時計仕掛けのオレンジ』『カッコーの巣の上で』『17歳のカルテ』…精神を患った名作は数々ありますが、そんな作品にも匹敵するほど心に刺さる作品でした。
波長が合う人には生涯を通して大切な作品になると思います。
あの選択をした心情ついて
グザヴィエ・ドラン監督の第5作。
期待を裏切らないですね。
喜怒哀楽がほとばしり、生命力に満ち満ちた世界を堪能しました。
ごちそうさまでした。
なかなか言葉がまとまらずしばらく寝かせて感想を書いてます。
明るい画面と、正方形の画角
時々挿入される横長の画角。
oasisのワンダーウォールが流れる中、
スティーブが壁を押しやるような仕草をして、画面が広がるシーンに、突き抜けるような多幸感を感じました。
大好きなシーンです。
同じ役者を使うのが好きな人ですね。
でも、皆さんお上手だから、別の人に
見えますね。特にスザンヌ・クレマン。
私はロランスのフレッドと同じ中の人とは思えない。
スティーブをラストで病院に入れたきっかけは、スーパーでの自殺未遂が直接のきっかけだと思います。
だとすれば、ダイアンの願いは、生きながらえて欲しい、なのかなと思います。
自由を奪って管理された世界に閉じ込めてでも、長く生きていて欲しいということ?
でも、スティーブにとっては母のそばで母を守り愛していきたい、自由な世界にいたい、訳で。
ダイアンからは確かな息子への愛が感じられます。でも恐れと憎しみも時々滲んでいる。
スティーブは全身から母への愛を放出しているけれども、その愛は暴力的で支配的で常軌を逸している。若干性愛の香りもする。そこらへんの線引きが難しいのだろうけれど。しかし、笑った顔やワンダーウォールのシーンなんかを見ていると愛しい愛しい坊やにも見える。
カイラからも、また一言では言えない複雑な人間性が感じられた。
かいつまんで説明できない登場人物たちの多面性が、あの結末を選んだ心境を、幾通りも思い起こさせ、その全てが解釈として正しいようにも思います。
作り手が意図した、事象と心情のリンクを味わい、解釈するのが物語を味わう醍醐味の一つだと思うけれども、現実の出来事は事象と心情が簡単に読み解けるものではないです。
事象に対しての思いや狙いが、これこれこういうものですだなんてしれっと提示できるほど我々は単純ではないです。
病院に入れた後のダイアンの描写も、一人になった事を喜んでいるというか肩の荷が下りたような風にも思えるし、でも後悔も口にしているし、断言できるようなもんではないのだろうと思う。
その事を実感させられる映画体験でした。
私はまだまだ人間を学ぶ必要があるなと思いました。
病院に騙して連れて行く車の中で、おそらくダイアンが描いた希望の世界が、幸福そうで、たまらない切なさを感じました。
愛だけでは、どうにもならないのだなぁ、とおもいました。
私はロランスの感想と同じですね。
なんか今までとは少し違った感じ それに1:1の比率の画面が最高だっ...
Xavier Dolan 監督の現時点での最高傑作!
グザヴィエ・ドラン監督の作品は3作目の「私はロランス」を1年以上前に観ましたが、その後少し空いて、最近になってドバッと勢いで(!)観賞しました。
ドラン監督の心のどこかに多分、母親への満たされなかった愛と、それ以上に今になってだからこそ満たしたい愛情があるのだろうなと気づきました。
ストーリー展開と言い、使用している音楽のセンスと言い、もちろん映画としての質感や俳優陣の役どころなどどれをとってもドラン監督の最高傑作だと思います。( 敢えて内容には触れません。映画館で自身と対峙しながら見つめて観て下さい。)
【追記】
彼をゲイだからこそ素晴らしい感受性で映画を作成しているという方々がおりますが、それは見当違いも甚だしいというものです。ゲイでも無骨で感受性のない方々はたくさんいると感じますので。
中央席で観ることをオススメします
本編始まる前に約10分の監督についての思想や映像表現を解説するショートムービーがあります。ここで本作の映像では、インスタグラムのような1:1画面で個を表現しているという解説があります。
そうです。この映画は1:1の正方形画面なのです。だから、中央席で観た方が断然見易いわけです。
カナダ映画。ドラン監督は架空のカナダを作りだし、その中で、発達障害の子とその親と隣人が夫々問題を抱えながら求め合い展開していく。愛憎、献身、脱却。
甘えもなくシビアに接することでそこにリアリティが生まれる。
素晴らしく哀しく、感動した。
特に以下のシーンにグッときた。
・買い物カートを振り回し回るシーン
・ママの為に買ってきたのに!盗んだと疑いをかけられた、親子の葛藤シーン
・少年と隣人の葛藤。死んだパパの話しをする、いやなら黙りなさい。恐ろしく、お漏らししてしまう少年
・買い物カートを車道で突っ走り、僕は自由だーと叫ぶシーン
・その場に合わない曲を少年が歌い、周りにからかわれながらも懸命に歌うシーン。独り占めできないと歌詞で母に向かって。弁護士の男が横にいる。
・ラスト、ぼやけ効果を上手く使い、引き裂かれる哀しい感情を映像で伝えているシーン。
・車内。雨音。また母に捨てられる恐怖を感じ、逃亡。取り押えられ、息子と母が引き裂かれシーン
音が良くて、とりあえずパンフレット買って、それともう1回は必ず見ようと思う
画角の変化を効果的に使用していて、その意図も非常によく伝わってきたし、役者の演技・演出が細かい表情まで見事に表現されていて、それが一層画角の効果を引き立て、どんどん引き込まれてしまった。
必ず滅びへと向かうであろう束の間の幸せ、決して叶うことのない理想・夢想、悲しみをひた隠しにした喜び、それらを非常にうまく描いた素晴らしい作品です。
音楽の使い方も好きでした。若い監督だからこそ、このような絵と音のコラボができたような気がします。
グザヴィエ・ドラン監督がこれから創り出していく世界を、自分が生きている限り追っていきたいと思います。
観入った
偏り
全体的に暗かったです。
どうしようもない絶望には、打ち勝てない結果が付き纏うような悲しい内容でした。
画面が1:1なのがすこし見づらかったです。
音楽の使い方は独特でよかったです。
スティーブのいいところ、もう少し描いて欲しかったです。
私的な感想ですが、ひととひととの関係は、たのしさは一過性のもので、最後はバラバラになってしまって終わり。という印象でおわるのがすこし寂しいですね。
観にくい
愛するがゆえの2人の希望
若き天才と称されるが、実はこのグザヴィエ・ドラン監督というのは25歳だからすごいのではなく、圧倒的なオリジナリティで人の心の襞を強く優しくグッと掴んでくるとんでもない監督だからすごいのだと思うのです。
ましてや俳優として芝居もして、オリジナル脚本を書き、音楽や衣装、編集まで手がけるという、ともすれば独りよがりのワガママ監督で作品もダメにしちゃうパターンが多いんですけど、ドランに限っては全部自分でやってる意味があるんですよね。
そんなドランの第5作となる『Mommy/マミー』を拝見。これ、観終わってからしばらく経つのですが、語ろうとすればするほど言葉が安っぽく思えてきちゃって、とんでもない傑作!というなんともストレートな表現しか出てこない自分を情けなく思うのです…。
息子を愛する母、父の分まで母親を愛する息子。遺伝子に刻まれた、"母と子"という究極の愛情が強いばかりに衝突を生みうまくいかない時も、愛の波長が合った時には解き放たれたような自由を2人は実感し、明るい希望の未来を夢見る。
でも、普通の幸せな暮らしを夢見た2人は、思いやるあまりに取る行動が空回り。どうしてうまくいかないのか。2人には愛しかないというのに。
愛するだけが、愛じゃない。2人が選んだ希望のラストに、ワタシは語る言葉も見つからず、感動という言葉では言い表せない鼓動をただ感じていました。
うーん、もっかい劇場で観る!!
究極のマザコン
スティーブはほんとどうしようもないやつだけど母親がそうさせてしまったんだなというのが率直な感想。スティーブの言動よりも母親の言動にイライラさせられた。彼がああなってしまったのは父の死?持って生まれたもの?環境?いろいろ可能性があるだろうがやはり母親が彼とちゃんと向き合ってこなかった結果がこうゆう結末を生んだのかなと。
この監督はかなり評価されているらしく観る前にハードルをかなり上げてしまって挑んでしまった。
結果悪くはないが、響いてくるものもないのが率直な感想。若くしてってところで多少なりとも加味されている部分は絶対にある。撮り方とか音楽の使い方が独特でこの監督の色は確かに感じる。が特段人にすすめたいとは思わなかった。
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