「予告編で見せ過ぎ」ズートピア うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
予告編で見せ過ぎ
予告編の、ナマケモノとの掛け合いがバツグンに面白くて、期待して見に行きました。
結果、そのシーンが一番笑えるシーンだったので、あとはお話を追っかける展開に。以前「ミニオンズ」でも、予告編で見ていたシーンで、本編の面白部分をほとんど網羅していたことがあったので、よく似ているなと思いました。
日曜日の映画館は子供でいっぱい。なかには怖がって、途中で退席してしまう子もいました。
ディズニー映画と言えば、歌唱シーンに期待が集まりますが、今回はやや期待はずれでした。「try everything」を「やるのよ」では、平板すぎてサビには弱い言葉を当てはめてしまった印象です。もっと、言葉を選んで欲しかった。
「let it go」を「ありのままで」と当てはめた時には奇跡が起きていたんだと思います。今回、その奇跡は起きなかったんだな。残念ですが。
「ズートピア」というだけに、動物園で見かける動物の行動や生態を中心に面白く構成してあるのでしょう。身の回りにいるネコとか、イヌ、鳥なんかは登場しません。サル、ゴリラなどの霊長類も登場しません。「ウサギに飼われているネコ」みたいな、おかしな現象が起きないように配慮してあるのでしょう。
ストーリーの根幹にあるのは、種の多様性を受け入れる国家が抱える矛盾とか、差別などを風刺したもので、親子で考えるきっかけになる、いかにもアメリカっぽいテーマでした。それを、テンポの良い映像と、親しみやすいキャラクターで語った新世代のディズニー映画。
よくあるバディムービーとは一味違うアニメでした。
ユートピア思想が、そもそも絵空事の理想郷を謳った発想だったことから、動物たちが共存する世界なんて、子供の空想に過ぎないものでしょうが、それを大真面目に考え、観客に提示してきたディズニーには気概を感じます。ですが、
今後のアニメーションに大きな影響を与える、素晴らしいファンタジーには、残念ながら届かなかったと、思いました。
余談ですが、ズートピアの全体像を一気に見せるシークエンスは、なぜか「ハンガーゲーム」を思わせるものでした。妙に設定が似てるんですよね。
2016.4.25