「因果応報と呼ぶには悲しすぎる。健気な瞳に映る、本当の世界。」独裁者と小さな孫 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)
因果応報と呼ぶには悲しすぎる。健気な瞳に映る、本当の世界。
【賛否両論チェック】
賛:自らの圧政のせいで、どこへ行っても憎しみと嫌悪の眼差ししか向けられない大統領と、そんな彼に寄り添い続ける孫息子の姿が、とても切なくて印象に残る。
否:展開はかなり単調で、ストーリーも後半はかなり淡々と進むので、気をつけないと眠くなりそう。終わり方もかなりの消化不良で、賛否が分かれるか。
それまで自分が行ってきた数々に非道な行いによって、どこへ行っても命を狙われ、正体を知る者には協力を拒まれてしまう。勿論因果応報といってしまえばそれまでのはずなんですが、栄華を極めてきた大統領が、泥と恥辱にまみれていく姿は、非常に悲しく孤独に映ります。
また、そんな大統領に健気に寄り添い、訳も分からぬままに共に旅を続ける孫息子の存在が、切なさをより一層際立たせていきます。大統領に、自分達の今の状況が〝ゲーム”だと教えられていた孫が、ある時
「こんなゲーム、もう嫌だ・・・」
とつぶやく姿なんかは、思わず胸が痛みます。
ただその分、本作の終わり方には賛否両論ありそうなところです。展開も後半に進むにつれて、かなり単調で淡々としていくので、人によっては飽きてしまったり、眠くなってしまうかも知れません。
何はともあれ、平和のありがたさを改めて痛感させられる、そんな作品に仕上がっています。
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