ナイトクローラーのレビュー・感想・評価
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悪い奴なのに眠らない
全編に渡って物語のバックグラウンド(というか主役?)となるLAの夜の艶めかしさよ。『ドライヴ』『アウトロー』に比肩する素晴らしい撮影。これだけでもうお腹いっぱいなのにジェイク・ギレンホールの怪演によって本作は唯一無二のものになっている。悪い奴なのに眠らない…
報道のあり方を問う社会派サスペンスとして観るのが正しいだろうけど俺は仕事映画としても観た。そうなるとなんか説教されよるみたいでちょっとしんどかったな…意識低いゆとり世代の僕です
ちょっとGTAっぽさもあったな
ジェイクになりたい
夜を這い闇を食む
“ナイトクローラー”とは、むごたらしい犯罪や事故の現場にいち早く駆け付けて撮影し、
その映像をテレビ局に売り込む者たちの俗称なのだそうだ。
視聴者の食いつく刺激的な映像であるほど、映像の値も上がる。
映画に登場するプロデューサー・ニーナの弁を借りれば、
「被害者が富裕層の白人で、犯人が貧困層やマイノリティならなお良い」。
ケチな仕事で生計を立てていた主人公ルー・ブルームは、たまたま
居合わせた事故現場でその商売を知り、自らもその世界に足を踏み入れる。
初めこそ見よう見まねで仕事をしていたルーだが、極めて貪欲で
手段を選ばない彼は、その業界でみるみる内に頭角を表していく。
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警察無線を傍受し、血生臭い現場を求めて夜の街を疾走するルー。
屍肉の臭いを嗅ぎ付けて血眼になる姿はさながらハゲワシだ。
最初に頭に浮かんだのはハイエナだったが、ハイエナは群れで動き仲間意識も強い。
ルーは違う。全く違う。
細長い体躯にぎょろりとした目玉、常ににやにや笑いを貼り付けたこの男は、
薄気味悪くは見えるものの、腕っぷしは強く無さそうだし、フランクで饒舌だし、
パっと見はよほど危険な人物には見えない。
だがその実、映画冒頭のような唖然とするような真似を平気でやってのける男であり、
協力してくれる人間さえも脅し嘲り罵り骨の髄までしゃぶり尽くすような男である。
1シーン、たったの1シーンだけ、彼が激昂するシーンがあるが、
そのゾッとするような剥き出しの怒りは忘れ難い。餓鬼さながらのあの表情!
彼は……なんと言い表せばいいか……
ちょっと手を伸ばして醤油の瓶を取るような感覚で、
相手の顔面を殴って財布を持ち去るような、そんな感じの男。
彼にとって『欲しいものを手に入れる』のは至極当然の事で、その為に他人が苦痛を被っても
気にも掛けない。いやむしろ、それを必要なプロセスだと考えている節さえある。
同情とか憐憫とかそういった感情が、彼からはごっそり欠如してしまっているのである。
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他人の不幸を食い物にするこの業界において、ルーの特性はまさしく天賦の才だった。
彼は他人のテリトリーを易々と侵し、誰の死も気兼ねなく撮り、より大きな獲物のために平然と他人を犠牲にする。
おまけに彼は勤勉だ。ネットや協力者から得た情報をスポンジのように吸収し、
知識として巧みに使いこなす……特に他人を懐柔あるいは出し抜く手段として。
そんな危険極まりない人間が、この映画で描かれる世界ではヒーローとなる。
人の死を苦痛を食い物にすればするほどに持て囃(はや)され、金と名声によって
さらなる装備とバックアップを手にし、より多くの屍肉を求めて這い回る。
この男はとんでもなく狂っているが、それを是として崇める世界も同じくらいに狂っている。
まあ、モラリストぶって話す自分自身、
『世界の衝撃映像スペシャル』みたいな番組はついつい見てしまう人間である。
内にある暴力衝動なのか、はたまた薄れかけた生存本能を刺激されているのか、
遠回しであれそういうビジネスに荷担している一人なのかもしれないと考えると……ううむ、複雑。
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本作を傑作『タクシー・ドライバー』と比較する向きがあるが、正直、同じくらいに薄気味悪かった。
ジェイク・ギレンホールの名怪演に圧倒されっぱなしの118分間。
後ろめたい衝動を刺激するアンダーグラウンドな世界、そして、
社会に交じるには危険過ぎる人間を助長させるような土壌、
それらを垣間見られる不気味な傑作。
自分がどんな死に方をするか分からないけれど……こんなトチ狂ったハゲワシの、
大きく冷たい瞳孔に見つめられながら死ぬのだけは御免被りたい。
<2015.10.18鑑賞>
報道から見た資本主義
¨ナイトクローラー¨が日を浴びる時
一言で本作を言い表すとすれば、キワモノ好きな覗き屋のバッドシンデレラストーリー。ルー扮するジェイクギレンホールの据わった目をした笑いがなんともたまらない。冒頭のシーンで、小銭稼ぎのために鎖を切って奮闘している姿が可愛いと思いきや、そこからどん底に成り下がる様(ルー的には成り上がる?)がものすごい。暗海を小さなエサを食べて泳いでたモンスターが、大きな獲物を食べて泳ぐように。。。 そして、ラスト。久方ぶりの日を浴びて、何かホッと一息したような顔で静かにサングラスをかける姿。鳥肌ものである。
どこまでやるんだこの人、、
怪演
"死肉"を喰らう狼に、自分がなった気分になった…。
アメリカらしい自己顕示欲で。
ギレンホール
どきどき
素晴らしい!
文句なしの傑作
映画史に残る悪役
承認欲求の塊
主人公は低学歴でまともな就職口を見つけられずにいる。ただし彼は、ビジネススクールや自己啓発書で勉強をしたかのような、人間観や処世術を滑らかに語り、他人の仕事の肝を的確に把握する勤勉で賢い人物である。
このような人物に与えられる物語は成功譚の他に考えられないだろう。そして本作もその鉄則からは寸分もはみ出てはいない。ただし、多くの観客のモラルに反する手段を積み重ねて、彼は成功を手にしていくのだ。
泥棒をして手に入れた品物を売り飛ばしている相手に、自分が勤勉で良く働くから雇ってもらえないかと売り込むのだが、その相手は「泥棒やってたやつは雇わない。」と当然のように断る。承服しかねたような顔をした主人公の男に、感情移入できる観客はいるはずもなく、早々にこの男への共感を禁じられたことを彼らは悟ることになる。
凄惨な事故の映像を売り込むテレビ局の人間相手に金額を交渉する彼は、金銭欲からというよりも自分の存在感や自分の仕事やの評価を高めたいことがはっきりしている。
年増の番組プロデューサーに、ビジネスの交換条件として男女の関係を迫ることも、自分の優位を相手に認めさせ、交渉のペースを作っているのは自分のほうであることを自他ともに感じることが大切なのだ。一昔前なら、この関係はプロデューサーが男で、上昇志向の強い女がそいつと寝るというのが物語の常套句ではなかっただろうか。このジェンダーとセックスのねじれが、物語の現代性を象徴していると同時に、この主人公の男のやっていることが少し前なら、「女の腐った」(この言葉自体が女性そのものを蔑視していることも含めて)のがすることだということを観客に示している。
このように映画は、この主人公への観客の共感を徹底的に排除すべくこの人物像を提示している。その試みが非常に上手くいっている。
我々が生きる社会の過度の承認欲求の根源に迫ると言って良い人物造形に戦慄を感じる。
ルー・ブルームのヒーロー映画
失敗してもめげずに、勤勉に粘り強く学べば必ず成功する。自分が正しいと思ったことをやれば、必ず成功する。自分が欲しいと思ったものは、必ず手に入れる。
有言実行。鋼の意思で遂行していく。
尊敬すべき人間の姿なのかもしれないが、彼の場合、「手段問わず」が入る。
狂気じみた気迫と執着心で仕事をするルーを演じるジェイク・ギレンホールに、思わず鳥肌が立った。
助手のリックがルーに放った「人間と考えていない」というセリフに対しての、ラストの応酬は、ルー自身の欠陥を肯定しているようなものだが、彼の自尊心はそれで満たされてしまっているのだろう。
このまま逮捕、もしくは危険な目に遭い死ぬかと思ったが、再びこのダーティーヒーローは野に放たれてしまう。凶悪犯が銃を持って逃走、なんてトピックよりも恐ろしかった。
カーチェイスのシーンはいままで観たアクション映画のどれよりも素晴らしい。
黒い爽快感
冒頭から犯罪を犯すなど頭のネジが一本外れていたジェイク・ギレンホールがパパラッチの魅力に取り憑かれ、さらに二本三本と外れていく様が素晴らしい
実際にはネットでの受け売りを並べているだけのクズだが、いつの間にか応援してしまいたくなる異常感というか非日常感
但し、実際にこういうクズがいる事を考えるとそれらがいつの間にか日常に思えてくる
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