「過激映像の価値とは・・・」ナイトクローラー odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
過激映像の価値とは・・・
こそ泥のルイスが目を付けたのが事件現場映像のスクープ稼業ナイトクローラー、ダン・ギルロイ脚本・監督も実在の人物たちに密着取材したようです。過激な映像が高値で売れるのに味を占めたルイスがどんどんエスカレートしてゆく様を描いています。
主人公のルイスや助手のリックは仕事にありつけない格差社会のアメリカの若者の縮図なのでしょう、落ちるところまで落ちると必死に勉強して才覚を発揮するところは皮肉です、悪賢いところの演出でしょうが余りにも理屈っぽいセリフには閉口しました。
ルイスは典型的なサイコパスかも知れませんがどこかジョーカーに通じる気味の悪さを持っていますね。ジェイク・ギレンホールさん怪演でした。
過激な映像が商売になるのは銃社会のアメリカならではと言う気もします、それでもネットワークは流石に報道倫理が強いので贔屓のディレクターがローカル局の契約社員という設定、主人公を持ち上げて過激な道に走らせたのも半分は彼女の責任かも知れません。
ディレクター役のレネ・ルッソさんはなんとダン・ギルロイ監督の奥さん、パパラッチに逆枕営業を迫られるとはとんでもない脚本を書いたものです。また、監督は必要悪としてのナイトクローラーにシンパシーをもったのでしょうか、キリンの子供をライオンが襲う映像を撮ったとしても道義的批判はしないだろう、それがありのままの世界だからだと訳の分からないことを映画の公式サイトで言っていました。
日本のTVでも警察密着ドキュメントとかありますがパパラッチの好物はゴシップネタでしょう。テレビ局のやらせ問題などたまに耳にしますが週刊誌やタブロイド紙の方が節操が無いかもしれません。もっとも今やスマホで4Kが撮れる時代ですから素人の投稿映像の方が現実的かも知れません。先日の京王線の事件でも乗客撮影の逃げ惑う乗客と煙草を吹かす犯人のスクープ映像が使われていましたね。
以前、ネットで「地震でライオンが逃げた」などの投稿が話題なりましたが今やフェークニュースがまかり通る時代ですからパパラッチの倫理観どころではないのかもしれませんね。