劇場公開日 2015年5月23日

「演技巧者達が粘度の高い演技で魅せる作品。」リピーテッド Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0演技巧者達が粘度の高い演技で魅せる作品。

2015年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

毎朝記憶がリセットされる女。
献身的だが言動の節々に違和感が残る夫。
過去の自分が夫に内緒で雇った医者。

話を推進する登場人物は当該三名のみ。
話の規模感は比較的小規模ですが。
三名の演技巧者達が粘度の高い演技をジットリジックリと。
画面全体に緊迫感、不穏感が溢れており話に惹き込まれました。

特筆すべきは主役クリスティーンを演じるニコール・キッドマン。
朝目覚めた時の不安気な表情。
状況を呑み込み始めるが不信感が拭いきれない表情。
兎にも角にも不信感を抱いた表情の豊かさにグッときました。

正直、話自体は呑み込み難い部分が無い訳では無い。
クリスティーンが喪失している過去の記憶部分。
虚実が入り混じり過ぎて本当の前後関係が見え難い。
見え難いが故に……真実が見えた……と思しき瞬間のカタルシスが若干弱い。

また部分部分で雑さを感じる部分も。
約15年分の記憶が無いクリスティーンが周りのハイテク機器を自然に使う姿には逆に違和感を覚えました。
実年齢40歳の人間が20代前半以降の記憶を喪失する。
それが故の生活のし難さに触れた部分が殆ど無かった点は残念でした。

演技巧者達が粘度の高い演技で魅せる本作。

細かい部分の螺子がキチンと締まっていれば、と少々残念な部分もありますが。
上映時間92分をジックリと楽しめる作品だと思います。
オススメです。

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Opportunity Cost