「クラクラ」さらば、愛の言葉よ 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
クラクラ
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ちょっと、観ててクラクラする。
3Dで視覚の遠近をいじっているだけでなく、音の遠近のバランスもかなり意識的に変えている。
そのせいで、理屈がどうのと言う前に、体感的にクラクラする。
視覚と音の遠近を変えていた『闇のあとの光』に似た印象を受けたが、『闇〜』よりも、もっと徹底してやっている。『闇〜』の監督も、ここまでやり切れば良かったのに。思いつくのは簡単だけど、やり切るかどうかの差は大きいと思う。1ショットのイメージの強烈さが、全然違う。
このクラクラ感は、3Dかつ映画館の音響でしか味わえない。家でDVDで観ても、何の事やらさっぱり分からないのではなないか。そういう意味では、映画館で、贅沢で我儘な時間を過ごさせて貰ったなあと思う。
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原題は「Adieu au langage さよなら言語」。
2Dの映画技法=映画言語は、3Dのこの映画では意味をなさない。
だから「さよなら(映画)言語」というタイトルなのかなと思った。
3Dをムリクリ見せられることで、じゃあ今までの2Dってなんだったんだ?と感じさせる。
だから「A dieu au langage 言語の神に」でもあるのかなと思った。
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かつてソシュールは言語には2つの側面があると説いた。
「langue」=文法的・理論的・社会的
「parole」=個人的・体感的
この映画も、理論的=langueでありながら、受ける感じは、最初に書いたように体感的で個人的。paroleな映画だったのではないかと思う。
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