「突き詰めたオトナには、身震いがする映画。」バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 年間100本を劇場で観るシネオさんの映画レビュー(感想・評価)
突き詰めたオトナには、身震いがする映画。
若い人には分からないかもしれない、
観る人を選ぶ映画だと思います。
とりたて
仕事や楽器や趣味や子育てなど、
何か一つのことを突き詰めたオトナが観ると、
途轍もない共感と切なさが襲ってきます。
突き詰めるということは
必ずピークを迎え、
若い奴に抜かれ、
時代は変わり、
自分が驕っていたことに気づき、
世界からの不必要感に苛まれる。
それにどう対峙するか、
それとも逃げるのか、
人生の大きな選択がくる。
今の僕もそうです。
そこに向かっている過程の人だって、
未来を思い浮かべてみると、
面白いかもしれません。
そんなことを
少しでも感じたことがないと、
到底理解できない話。
近年まれにみる、見事な脚本でした。
主人公を演じたマイケル・キートンは、
ショウビズ人生の波を体現している人だから、
そのリアリティに圧倒されっぱなし。
2時間通して切れ目がないように見せる、
長回しにこだわった演出ギミックも見事。
現実と空想と舞台を上手く繋げて、
重くならないファンタジーに仕上げています。
セッションを先に観て比べたのだけど、
やはりこちらには
作品賞の重みがありましたね。
間違いなく、秀作です。
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