「実験的な作品を想像し、さらに実現して、なおかつ面白い」バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) ハルさんの映画レビュー(感想・評価)
実験的な作品を想像し、さらに実現して、なおかつ面白い
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映画を珍しい手法で撮ったからといってそれが素晴らしいわけでもない。普遍的なイノベーションであれば別だけど今作はそうではないだろう。それでも『アバター』や『ゼロ・グラビティ』がそうであったように「そう撮ることで新しい感動が生まれる」のであればもう手放しで称賛したい。
正直、ストーリーや人物造形についてそれほど掘り下げることもないだろうとは思う。超能力やバードマンの描写については妄想の産物だと言い切れるし、それらはどちらかというと今時のブロックバスター的な作品群への皮肉としての道具だと捕らえている。言うなれば悪ふざけやジョークの類で遊び心と言ってもいいのでは。ラストのことを思えばこの長いタイトルさえも虚しいし、悲しいのだ。そう、しっかり考えると悲しい話でしかない、と思う。でもそれだとコメディとしての価値が自分の中で保てないので掘り下げない。
登場する主要の演者たちが実際のキャリアとかぶるような役になっているところはそれら背景をあらかじめ知っていないと笑えないので内輪受けと言えばそれまでだったりもする。名作というより良い意味で迷作であり快作である。もう一度観てあのリズムに浸りたい。
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