「予期せぬザック。」バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
予期せぬザック。
満を持しての作品賞の公開。しかし元バットマンがバードマンに?
なんて冗談も大概にしろよと思うキャスティングがバッチリ嵌った。
いや~面白かったの何の!好き嫌いが大いに分かれそうな作品だが、
個人的には大ウケ&バカウケ。途中で何回ケラケラと笑ったことか。
今や落ち目俳優リーガンの起死回生を懸けた舞台プレビューを追う
ほんの1~2日間を描いただけの話なのだが、観てる方は疲労困憊。
全編ワンカットで撮ったかのようなカメラワークにも酔いしれるが、
背後に流れる即興演奏のドラム、癖ある芸達者達のキワモノ感、
リーガン同様で嫌になる痛烈場面ばかりなのに瞼は開きっぱなし。
さぁどうする?次はどうする?パンツ一枚になって街頭を歩く(爆)
リーガンの名場面はそういうことだったのか!?とSNSの反響を
体感しながら(これシェフ!と同じ感覚ね)バードマンが囁く超自我に
彼がどんどん目覚めていく飛翔場面はハリウッド製の爽快なロマン。
映画界を皮肉り演劇界を批判し役者のエゴも剥き出しにしているが、
どのギョーカイにも存在する「裏側」を丁寧に描いていて分かり易い。
舞台で本番に挑もうとする俳優や、アンコールを笑顔で罵る俳優達、
実名入りでバンバン貶すところなんか(大丈夫か?)楽しすぎて爆笑。
リーガンと批評家タビサの一騎打ちなんて鮮やかすぎて隙がない!?
どんな罵詈雑言にも耐えうる屈強感が全くない彼のノーテンキな顔が
そりゃ芸術家を名乗る舞台専門家には何をこの馬鹿映画俳優が?てな
もんなんだろうなーといちいち納得するも、芸術家になれない奴が
批評家になる。なんて言葉にも大納得。場面は流れ、苦言は刺さる。
あちこちで巧い強弱をつけた展開は、バードマン自我に目覚めた彼を
一気に舞台で飛躍させるが…そういうことか~。ここでタイトルの
(無知が~)の意味が分かるけど、確かに予期できないわねぇあれは。
(あと予期してなかったのがザックの名演。あの馬鹿ヒゲ男が超普通!)