「ジェットコースターのような作品」バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) morikenさんの映画レビュー(感想・評価)
ジェットコースターのような作品
濃密な映像の連続にとにかく圧倒され、2時間が永遠のように長く感じられたが、画面に引き込まれているうちに気が付けば映画は終わっており、まるでジェットコースターにでも乗っているかのような気分だった。登場人物がそれぞれ心の葛藤を抱えエゴをむき出しにする有様に、観ていて人間関係のストレスを感じて自分は胃が痛くなりっぱなしだった。落ち目の映画俳優リーガンが孤軍奮闘するさまは、暗中模索で先行きが見えず何が正しい道なのか分からない中でも、とにかく己の信じる道を歩んでいかねばならないのだというリアルでシビアな人生像を我々に示しているように感じた。
理屈で考えるよりは感覚で楽しむ映画なのではないかと思う。意味がわからないといえばわからないし、映画の既成概念をブチ壊して、観客を驚かせたり困惑させたいというような作り手の意図があるように感じた。若干ハリウッドのパロディ的というか内輪的な雰囲気があるので、その点が受け付けない人もいるかも知れない。でも総合的に言えば、本当にレベルの高い映画だったなとつくづく思う。
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