「無知とは誰の何か」バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) nok0712さんの映画レビュー(感想・評価)
無知とは誰の何か
クリックして本文を読む
一昔前はバードマンとして一世を風靡したものの、その後は
いまいちパッとしない老体のアクション俳優が実力を求められる
ブロードウェイで一発逆転を狙う物語。
冒頭から一切途切れないカメラーワーク。
息つく暇も無い場面展開。
まるで演劇、ここは舞台。
しかし、なんとも不均衡な設定。
リアリティの頂点にある演劇と、フィクションの頂点に立つ
スーパーヒーロー。何故このふたつを混ぜたのか。
空を飛べたり、物を触れずに動かしたり。
その力は、いけ好かない演技派俳優とのケンカや素行不良の
娘の説得、ペンで人を殺す批評家への懇願など、あらゆる
場面で使われない。一切使われる事がない。
唯一、我々この映画を見ている者の前でのみその力を見せてくる。
表舞台の裏の更にその裏を、我々のみが知っている。
第三者視点から舞台の表裏全てを見て来た我々のみが、
バードマンの秘密を知っている。
これは「ホンモノ」だと信じて疑わない。
_
「無知がもたらす予期せぬ奇跡」とは。
俳優として未熟なバードマンもたらす最高の演技か、
父親が飛べる事を知らなかった娘がもたらす父親への羨望か。
それともバードマンが「飛べない」事を知らなかった我々への蔑みか。
_ _ _
コメントする