劇場公開日 2015年2月21日

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「クリスカイルに脱帽」アメリカン・スナイパー あかやんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0クリスカイルに脱帽

2015年3月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

戦争経験の無い今の日本人にとって、こういうノンフィクションの戦争映画はどう写るのだろう。
主人公であるクリスカイルが、戦争に心が蝕まれていく姿は本当に胸が痛い。
命を捧げるほどの愛国心…到底私には理解し難いが、彼らに守られている事を国民は理解しないといけない。
戦争には反対だが、争いはきっと無くならないだろうから。結局誰かが誰かを守る為に闘わねばならないのだ。
子供が当たり前のように武器を持たされる映像は、ニュースであっても映画であっても辛い。
その子供を撃たなければならない兵士はもっと辛いだろう。
クリスカイルという男は伝説と呼ばれているが、1人の夫であり父親である。
苦しみながらも家族を守ろうとするクリスは本当にかっこいいの一言。
苦しみを乗り越えた矢先の死は言葉を失った。
最後に使われていた実際の追悼の映像で彼のやってきた事は報われたのだな、と思った。

クリスを演じたブラッドリークーパー。文句無し。
見慣れた細マッチョではなく、かなりずっしりと貫禄のある体に変貌を遂げていた。
サングラスをかけた髭面はあのブラッドリーなの?と思ってしまうくらいだ。
カウボーイ時代の秘めた闘争心と戦争による深い心の傷を見事に演じ切っている。

そして監督はクリントイーストウッド。
実に彼らしい!
本当にシンプルに映画を作る人だ。
小細工や派手な演出など必要ないのだと。
早く息がしたいと思うほどの緊迫感。
無音のエンドロール。
ふとハートロッカーを思い出した。

人を殺し続ける代償は計り知れないのだ。

観てよかったな、と思った。

あかやん