「アメリカ人のプライドとなった男」アメリカン・スナイパー かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ人のプライドとなった男
米軍史上最高のスナイパーの自伝を、クリント・イーストウッドが映像化。
原作はクリス・カイルの同名書籍。ハヤカワ文庫刊。
米海軍ネイビーシールズ・チーム3所属のクリスは、4度のイラク遠征をしたスナイパー。
狙撃による射殺は確認した数だけで160人以上、未確認含めると250人を超えるという。
マーベルコミックスのヒーロー"パニッシャー"のドクロマークを装備に刻み、次々と敵を排除する彼ら——とりわけ目覚ましい成果をあげるクリス——を、仲間たちは「ザ・レジェンド」と称賛し、敵は「悪魔」となじるようになる。
チームがイスラム活動家の「ザルカーウィ」捜索に力点を置く中、敵はクリスに狙いをつけ、元オリンピック選手だった狙撃手「ムスタファ」をさし向ける。
3度目の従軍を終え、アメリカでの日常生活をおくるクリスだが、戦闘ストレス反応に苦しみ、家族とうまく折り合えない。
「あなたの魂はまだ戦場にいるの。お願いだから帰ってきて」
愛する妻タヤに送り出され、最後の戦場に向かうクリス。
敵に肉迫するチームだが、それはクリスを誘いだす罠だった。
砂漠の嵐が迫るなか、死力を尽くした戦闘と、ムスタファとのスナイパー勝負。
敵との距離は1920メートル。
互いに狙いをつけ、そして最後の弾丸は放たれた。
冒頭の狙撃シーン。
原作自伝では母親だけが殺されていましたが、イーストウッドが訪ねたところ「実は、撃ったのは子供の方なんだ」とクリスは言ったとか。
それを受けて両方射殺するという描き方をした理由や、「敵を殺したことを後悔したことはない」と語るクリス・カイル本人の内面を、子供時代の父親の教育とつなげて語る部分に、現代のアメリカ人の価値観が読み取れます。
ムスタファの存在も、原作ではわずかに一文書かれたのみ。
この映画は娯楽フィクションとして作られていますが、そこに力強い生命感を与えたのは、クリス・カイルという実在の人物に重点をおいて「戦争」を描いた事です。
銃の国テキサスに生まれ、狼から羊を守る"番犬"として育った最強のスナイパー。
同国人の元海兵隊員に射殺された末路までを描いた、純粋なる「アメリカ人のための」、そして我々にも通ずる戦争映画です。
フォローとコメント、そして共感ありがとうございます。
黒澤明監督作品、読んで下さり嬉しいです。
「どですかでん」だけは何故か未見なのですが、
他の作品は観ました。
似たような作品が殆どなく、やはり私には小津安二郎より、
一番好きな尊敬する監督は黒澤明です。
かせさんは相当な映画通の方とお見受けしました。
レビューどれも読みごたえがあり素晴らしいです。
末永くお付き合い下さいね。
よろしくお願いします。