「ミステリーではないし、2回見る必要もなし。」イニシエーション・ラブ 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
ミステリーではないし、2回見る必要もなし。
「イニシエーションラブ」見ました。
相変わらず堤幸彦作品は楽しくないなと思わせる一本。ラスト5分云々は良しとして、それ以外は退屈すぎる。ミステリーとしても微妙な上に、恋愛映画としても最悪の仕上がり。まず、ラスト5分以外は特に何も起きない。で、なんで製作側は2回見させたいのかも不明。
先に言わせてください。別にラスト5分のどんでん返しを勘繰って見ていたわけではなく、普通に見てたら分かってしまったんです。
まずこの映画は一応ミステリーらしいので、これについて言いたい。伏線がバレバレだよ、と。僕が早めにオチを見抜いたアイテムは、赤い車なんですよ。まず序盤でデブ男が原チャを飛ばして前田敦子の家に向かう場面の道路。チラッと赤い車が見えるけど、そこじゃ流石にこちらも展開予想に確信は持てない。でもCMで松田翔太が同じの乗ってたけどね。そして中盤くらいか、あそこと全く同じ角度で、今度は松田翔太の赤い車を映す所。僕はそこでこの映画のネタが分かってしまった。ヘタしたらもっと早めに気づいた人も多いのでは?むしろそこで気付きなさいというメッセージなのか?だとしたら軽率だけどなー。
騙したそうな作りは結構だが、意味深げなカットが多すぎてラスト5分の前にはネタに気づいてしまうよね。ルビーの指輪の説明も丁寧すぎるし、たっ君と言いかけてタックの話にすり替える場面もそう。特にたっ君の下りは、このデブ以外のたっ君がいるんだなってのが分かる。指輪、車、積まれた本、タックの話、ナイキの靴もそう。アップにしすぎね。
あとはやっぱりラストのラスト。堤幸彦作品では毎回思うけど、やりっぱなしは良くないと思う。前作「悼む人」の時も思ったけど、ケジメってのはやっぱり大切だし、特に今回は二股交際の前田敦子がどうケジメを付けるのかを1秒たりとも見せないのはどうしても納得できない。
松田翔太って演技が上手くなりましたよね?見るのは「花より団子」以来なんですけど、あの時の棒読み無気力演技のイメージで行ったら面食らいました。あとは前田敦子と木村文乃がかわいい。特に木村文乃ですよね、あんなん来たら前田敦子なんてどーでも良くなりますわ。木村文乃と三浦貴大の絡みも面白いんだけど、今ひとつキレがないと言うか...。映画全体を見ても、細かい笑いが散りばめられてるけど、全然おもしろくない。ましてやそんな笑なんて見る側は求めちゃいない。まぁ劇場で笑ってる人多かったから、堤幸彦的にはよかったのでしょうが。
総じて、ミステリーというには大袈裟な気がする。ただの二股交際の話じゃん?有名な所で言うと「SAW」という映画がありますが、あのくらいの吃驚仰天を経て客は二回観たくなるんだと思いますよ。これでは二回観る必要なんてないよ。てか早めにオチに気付かれるようじゃ何も成立していませんよ。宣伝でラスト5分強調しすぎ。