「匂い立つ『女』の体」この国の空 Arcoさんの映画レビュー(感想・評価)
匂い立つ『女』の体
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戦時中のドンパチよりも、そんな時代に生活していたごく普通の『少女』に焦点を当てたストーリー。
少女から『女』へ変化してゆく様子が、匂い立つように撮られている。
なんとも静かに淡々と進むが、所々でグッと惹き付けられるので飽きはしない。
特に、神社で不完全燃焼して火照ったままの心と体を、トマトを口実にぶつけに行くシーンは見応えがある。
勢い良く庭のトマトを収穫して井戸で洗う様子が、素晴らしいカメラアングルでドラマチックに撮られている。
ラストは突然訪れ、詩の朗読と静止画がゆっくりアップになるのだが、これがまた良い。
結局何だったの?と思う人もいると思うが、このスッキリしない余韻こそがこの映画の良さだと思う。
また、二階堂ふみの口調がいったいどうしちゃったの?と思えるほど棒読み風で気になったのだが、あえてあのような感じにしたのだろう。
戦時中に何もかもを抑制しながら生きる様子が、そこにある。
そんな中「お母さん…」など感情のこもったセリフは物凄く映えて良かった。
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