「自然の脅威」エベレスト 3D 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
自然の脅威
1996年に発生した『エベレスト大量遭難事故』を描いた作品。
3Dでの作品です。この作品を3Dにする意味はちょっと良くわかりませんが、臨場感を増すということなんですかね。3Dで無くても、あの映像は十分に迫力はありました。
この事故の時、日本人が遭難していたと言うことは知りませんでした。しかも女性で、日本人として田部井淳子さんに次いで2人目の七大陸最高峰登頂者だったとはね。田部井淳子さんや今井通子さんは有名ですが、難波さんの事は寡聞にして知りませんでした。普通の会社員をしながら、登山費用は自分の給料で賄っていた方ということで、努力家であったんですね。
ところで、今回その難波靖子さんを演じた森尚子って、トーチウッドに出ていた人ですよね。久しぶりに活躍している姿を見ました。ほとんどセリフはありませんでしたが(苦笑)。
既に指摘されている事でもありますが、商業登山の難しさを垣間見ました。劇中、クレバスに架かる橋で渋滞した時のクラカワーのセリフに「65000ドルも払っているんだから、渋滞させるな」と言う趣旨のものが有るんですが、そう言われちゃったらねぇ。登山というものはそういう物ではないと思うんですが、“お金を払う者、お金を貰う者”と言う存在があると、そうなっちゃいますよね。それと、遭難の原因の一つとも考えられる、ダグ・ハンセンに対して、登頂断念を強制できなかったということ。これも、お金を貰っているという事があるんで、強くは出られなかったと言う事もありそうな気がします。それに、隊員たちの技量もバラバラに感じましたね。公募隊ではなく、山岳会などの登山パーティであっても遭難は避けられなかったかもしれませんが、少なくとも技量は平準化されるでしょうし、隊長の指揮権ももう少し強かったのではないかと思います。
基本的には、事実を描いているので、ドラマティックな出来事はありません。って言うか、不謹慎かもしれませんが、この遭難事故自体がドラマティックであると言えると思います。それにしても、終わりはちょっと唐突。カットアウトされた感じです。あれはもう少し、何とかならなかったですかね。
そういえばエベレストって、2014年には大雪崩、2015年にも地震に伴う雪崩で、大遭難が起きているんですよねぇ。こればかりは、時代が進んでいったからといって、安全になるものでは無いですね。自然は偉大で、怖い。