「良しも悪くも・・微妙・・・」エベレスト 3D フットさんの映画レビュー(感想・評価)
良しも悪くも・・微妙・・・
海洋系よりは山岳系ジャンルが好きだ。実際登山は丹沢・高尾しかなく、日本人にして富士の頂きも拝んだ事はない。ましてや五千級越えの環境が人体にどう影響するか・・なんて自身の生涯では映像の中でしか体験しないだろう。コミック「岳」を読み返しては‘山’に憑かれるのは理解できるけどね・・・・。
実話ベースにして、役者も一級。「3D」を全面に謳ってる。先行予告でも編集よしで、大いに期待していた。自分は眼鏡人なんで絶妙なのはわかってても、あえて眼鏡がデカいIMAXは拒否反応を起こす。IMDbのTechnical Specsで 2.35 : 1とあるので劇場模索したが、「マイ・インターン」の入りがいいのか東宝系THXはKOだった(悲)で、久々の日劇1へ。
ところが、ところが・・である3D上映しかしないほどの太鼓判のくせに、全く驚きがない!!3DCMで観たクレパスの深淵もブリザードの雪塵も(本来火の粉とか細かい系はいやおうがなしにゴースト現象と視界に飛び込むのに)平凡な奥行である・・どうした?おい!リアルDの底力をみせろ!結局ヘリの場面以外は唸る要素なく、なんだよ、これなら2Dで充分じゃん程度の3Dでがっかり!!ドラマ重視でも「ヒューゴ」ぐらいの流麗さを魅せろよってな具合でテクニカル面では失敗(IMAXのビスタなら違ったと後悔)。
んで、肝心な物語はというと・・二時間という限られた中に、これは詰め込みすぎではない?どのエピソードもいいし、役者もそれに応えてるが、グっとくるまでの厚みがない。大きく分けてロブ、ダグ、ベックのパート。スコット隊のパート。ガイ、ヘレンの山岳隊の3つがあるが、この演出の中で自分が目頭熱くなったのは、命の希望を取り持つだけで行動的に何も出来ない山岳隊の空しさだった。実際ならサム・ワーシントン、エミリー・ワトソンなら突撃派なのに、あえてこの‘もったいない役’についた。斬新である。
ダグのエピソードは映画的最良なだけに、顛末が勿体ない。しかし実話ベースで商業作品だから、これが正解か。。。
自分にはしっくりこない想定外な大作だった。
映像的にはおバカな話だったが、15年前の「バーティカル・リミット」の方が2Dでも遥かに良かった。