「リアルな少年たち。」トラッシュ! この街が輝く日まで ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
リアルな少年たち。
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物語は絵空事かもしれないが、描かれる事態は現実に近い。
昨今やたら猟奇的な事件が取り沙汰される日本でも子供達の
於かれたこんな状況を観ると絶句する。ゴミ拾い人の現実は
以前「ヴィックムニーズ~」で知らされたが、今度は子供達が
その現実から悪夢のような逃亡へ命懸けの冒険を繰り広げる。
まぁ恐ろしいのは悪徳警官の少年達への襲撃。冒頭から銃口を
突き付ける映像に度肝を抜かれるが、その後も少年達に実弾を
浴びせ、車で重傷を負わせたりと目を背けたくなる場面が続く。
始まって半分も経たない間に隣りの女性は嗚咽を漏らし始めた。
泥だらけ血だらけ傷だらけの中で子供達はタフな笑顔を見せる。
たまたま拾い上げた財布に残った秘密の謎を解き、正しい事を
するべく奔走する少年たち。彼らを助けるのが国家や警察でなく
他国の神父やボランティアだというのも現実的。いかに腐敗が
広がり病んでいるかが伺える。ゴミを拾いゴミ溜めで水浴びを
する少年、地下に潜って生活する少年、地下鉄に乗り合わせた
人々が彼らを見る目が貧富差を物語り、容赦ない拷問リンチの
恐ろしさと遭わせてどこまでも胸が痛むが怯んでいる暇がない。
ビデオの映像と財布に隠された真実が解き明かされる後半で
やっと光明が差してくるものの、最後まで気が抜けない展開。
演技未経験の少年たちから発揮されるエネルギーの放出が凄い。
(「シティ・オブ・ゴッド」組の健在。平和な日本に風穴を開けて)
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