「ありゃ、テッドいつのまにか大人になっちゃったね」テッド2 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
ありゃ、テッドいつのまにか大人になっちゃったね
これって米国における黒人の歴史の焼き直しですね。
昨年度のアカデミー賞作品賞を受賞した『それでも夜は明ける』などを観ればよくわかる。
あの映画でも、黒人は「だれかの所有物(Property)」と表現されていた。
この「Property」という語は、通常のモノ(独立したモノ)を指すのではなく、何かにへばりついたように所有者と切り離すことができないもの、という語感が強い。
つまり、まるっきり、自由がない。
そう、あんなに自由に振る舞っていたテッドが、である。
ここのところを理解しないと、この映画の重みが軽くなってしまいます。
とはいえ、この続編は前作でやたらめったら昂奮した身から観ると、つまらない。
というのは、テッドがしらないうちに大人(分別がある立場)になってしまっているから。
いくらジョンとふざけ合っても、テッドには分別がある。
物語に入ってすぐに、結婚したタミリンと口論するシーンがあるのだけれど、そこでテッドがやっているのは領収書を計算をして、タミリンの無駄遣いを指摘して詰るということ。
これは明らかに分別のある大人のすること。
前作が面白かったのは、どうみてもオッサンのジョンとテッドが中身は子どものままで「無為」に過ごしていた仲だったのが、事件を契機にして「有意義」な信頼関係を築く、という成長物語だったから。
前作の終りで、テッドは、いったん死んで生まれ変わったのだろう。
今回はさらに生まれ変わる。
というか、生まれ変わるのは、周囲の人々なのかも。
なにせ、ぬいぐるみのクマを人間として「認める」というのだから。
ということで、この続編には、前作にあった「成長物語」がない。
テッドは変わらないし(いや、親になるか)、ジョンに至ってはいったん死んでも変わらない。
なので、いくらギャグのつるべ打ちであろうとも、前作ほどの面白さに欠けるのでしょう。
タイトルバックの、バズビー・バークレーばりのレビューには昂奮しましたが。