フレンチアルプスで起きたことのレビュー・感想・評価
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男の愚かさ、女のリアル
誰もきみを守らない
旦那針のむしろ
ちょっとしたボタンの掛け違いから、絶えず奥さんが"これでもか〜"とばかりに虐めるから、旦那立つ瀬なし。いや"針のむしろ"状態が延々と続きます。
この映画が面白いのは。前半に「裏切られた!」とゆう気持ちが強く、人知れず苦悩を重ねていた奥さんが、旦那を執拗に責め立てる事で生まれる絶望感。だが後半になるにつれて、今度は旦那に感染して行き、いつしかその立場が逆転して行くところ。
観ているこちらとしては、「一体全体どうなっちゃってるんだよ〜!」状態が続くのですが。そこに至るまでに、かなり苛々を募らせていた観客の気持ちを、旦那が醜態を晒す事で喜劇性が一気に加速。しばしば失笑させる事で笑いが生まれて行き、観客の緊張感を解す事に繋がっています。
特に最後の手段とばかりに、旦那が"奥の手"で奥さんの機嫌を直そうとしますが、(本編中に描写は無し)奥さん無表情。旦那は唖然。
いやいや思わず笑ってしまいました(笑)
実は映画の前半部分から、イングマール・ベルイマンの『ある結婚の風景』を思い出しながら画面を見つめていました。
ちょっとしたボタンの掛け違いから口論に発展し、どんどんと夫婦仲が悪くなって行く下りや。中盤で友人のカップルが登場しては、その2人にもその余波が及び、口論になりかかる辺り。
「あ!これベルイマンぽいなあ〜」と、思わず当時に観た時の感覚を思い出していました。
最後に『ミスト』の様な絶望的な終わり方をさせるのか?と思わせたり、あのカップルが初めて登場する場面で実は…とゆう絡ませ方を含めて。この監督は、観客の思惑を度々すかして来る辺り、かなりしたたかさを感じますね。
(2015年7月6日/ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1)
むちゃくちゃあるよな…
人の本質を描いた深い作品
フレンチアルプスにスキー・バカンスにやってきたスウェーデン人一家に巻き起こる家庭不和の危機。第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門・審査員賞受賞。
いやぁ、なんでこう言う出来事を映画で描こうと思ったんですかね?そう思わせられるから、カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門の審査員賞を受賞したんだと思いますが。それにしても、シュールというか、ブラックというか・・・。人間の本質を描いた映画と言って過言ではないです。
雪崩に巻き込まれかけることは、そうそう無いと思いますが、ふとした何気ない言動が、周囲に波紋を広げて、人間関係が悪化していくということ。そう言う意味で、他人事では無いなとも思いました。そしてそれは、自分たち家族だけではなく、何故か周囲に友人知人たちにも伝搬していくなんてね、なんか、ありそうな感じに思えました。
気になったのが、エバ。彼女の危機感知感性は、この物語の一つの線になっているのでは無いでしょうか?最初の雪崩、物語終盤のゲレンデでの出来事、そして最後のバスでの出来事。そう言う意味では、あの後バスに何かが起きるのか?と思っていたんですが、映画の中では何も起きませんでしたね。
人の本性を描いたこの作品。深いです。
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