「善良な人は知らぬが仏。」フレンチアルプスで起きたこと だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
善良な人は知らぬが仏。
夫婦者は観たらあかん映画ですね。仲良しでも、壊れかけでも、よい影響はないかもねー。特に一緒に見るとあかんですねー。愛想尽かしかけで、別れの突破口が欲しいなら観たらいいと思います。
この映画をにやにや笑えるのは、性格悪いひとりものでしょうね。私の事ですが。
大まかにいうと5日間の休暇で起きたある一家の悲劇です。
2日目の昼に雪崩が起き夫トマスは自分だけ逃げました。パパ!と息子が叫んでるのに逃げました。
まぁ小者ですわねぇ。妻はともかく子供に脇目もふらず、一目散で逃げたんですから。
しかし、その後の行動が輪をかけて良くない。
妻エバに逃げたわよね?と、詰め寄られるも、逃げてないよ、現象に対しての君と僕との認識の違いだとか御託を並べて誤魔化します。それも複数回。その度に険悪さも増していきます。
子供たちも親の険悪さを察知して機嫌が悪くなる…
あぁ、休暇台無しです。
3日目の晩、ヒゲの友達とその若い恋人がいる前で、エバは三たびトマスが雪崩の時に自分だけ逃げたことを持ち出し、トマスに逃げた事を認めさせます。証拠映像と第三者の客観性にて言い逃れできなくなって渋々認めます。
その晩アホ面で一人泣くトマス。化けの皮がほぼ剥がれてきます。
翌日の晩、相変わらず冷たいエバに怒りとともに懺悔をしますが、嘘泣きからのみっともない号泣を晒しエバはドン引き。どっかの県の県議の号泣釈明会見かっちゅうダダ泣き。哀れみを誘うための泣きで、見てるこちらもドン引きでした。
あんまり泣くのでエバはとりあえず落ち着かせようと、部屋に入れますが、効果なし。親のケンカが一番辛い子供らも、すでにベッドで泣いてます。なんか知らんけど、トマスの泣き勝ちみたいな四人の泣き抱擁で最後の夜が終わり…
5日目の朝、ひどい天気のなか最後のスキーをしようとする一行。ゆっくり降りるも案の定、禁止区域に入りエバがはぐれます!!再びのピンチにトマスが無事エバを助け、強引な面目躍如で休暇終了。
さて帰りのバスではヘアピンカーブを曲がりきれない運転手の危険運転に我慢できず、エバが車を止めろ降ろせ!と要求し、つられて殆どの乗客が降ります。
1人(1人でバカンスにきて行きずり情事を楽しむ女・夫子供あり)のみがバスに残り、他の乗客はほぼ上着もなく山道に残ります。取り残されたと言ってもよいかも。
降りた時は言い出しっぺのエバが正しい空気だけど、徒歩で山下りしながらみなさんビミョーな面持ち。あれ?バスに残ったあの人の一人勝ち?みたいな。
そして非情にもここで映画は終わります。
ラストのエバの行動は、雪崩で1人だけ逃げたトマスとかぶるような気がして、帰国後にまた揉めるんちゃうかなぁと思いました。同じ穴のムジナですねぇ。エバはどうフォローするんでしょうか?
確かにトマスのいい夫っぷりはハリボテ
でしたが、エバも怪しいのか?という暗示に思えました。
そして、子供たちですが、奴らもまぁ利己的です。自分らが親に別れて欲しくないもんだから、ねぇ。芝居がかった泣きで母を丸め込もうとする。そこに悪意はないでしょうが、いたいけなともいいきれませんぜ?
あれあれまさかの自分だけよければ良い、ってやつですか?え?え?あなた方が後生大事にしてる愛だの絆ってやつはそんなもんでっか?
結局、人間は自分だけが可愛いのです。その醜さ弱さを直視したいもんですね。認めてしまえば強さでもありますよ?はっきり言いましょうよ、自分のために生きてますねん、悪い?って。
そんな感じの感想を持ちましてね。まぁ、僻み含みなんでしょうが、一理あると思います。わたしはわっるい顔して高みの見物となりました。
劇中にでてくる無表情の掃除夫が観察者としてトチ狂った彼らを無表情に見つめます。これがなんとも笑えました。
ヒゲの友達とその恋人のケンカも笑えました。あの人ら帰国したら絶対別れるw
性格悪い人は是非見て、無自覚な偽善を笑いましょう。ストレス発散に最適です。