「メロドラマの背後に横たわる歴史の重み。」シアター・プノンペン バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
メロドラマの背後に横たわる歴史の重み。
1970年代に政治勢力クメール・ルージュによる粛清と虐殺の嵐が吹き荒れたカンボジア。その悲劇の歴史を踏まえた一種のメロドラマだ。
現代の女子大生が、もう営業していない映画館で館主がひっそりと映写していた映画を偶然見る。そこに映っていたのは若き日の母。なぜ母は女優だったことを隠していたのか? 彼女は真相への好奇心と老いた母親のために何かしたいという想いから、未完成の映画を完成させようと決意する。
歴史ドラマとしてもメロドラマとしても決して優れているわけではない。明かされる謎とその顛末も強引ではある。ただ、わずか40年ほど前に、同じ国民同士で殺し殺された事実がのしかかる。その時、父親や母親は、どちら側について何をしたのか?
時間とともに戦争の記憶が消えゆく日本にあって、この映画の「忘れてはいけない」という想いの真摯さと強さに胸を打たれた。まさに歴史を背負った作品だと思う。
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