劇場公開日 2016年3月12日

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「現在では、家族は、いいことより悪いことの方が多い。家族はつらいのです。」家族はつらいよ Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5現在では、家族は、いいことより悪いことの方が多い。家族はつらいのです。

2017年4月16日
PCから投稿

内容的には『東京家族』のメンバーによる山田監督の久しぶりのコメディー。

テーマは熟年離婚。テーマも題名もすごくいいと思う。

『東京家族』は小津安二郎監督の『東京物語』をリブートしていて、家族の崩壊みたいなものを描いてはいたけれど、やはり一昔前の雰囲気だった。

現在に当てはめて考えてみれば、そんな崩壊レベルでは済まないような気がする。

ラスト、主人公の平田周造が、ビデオで『東京物語』をしみじみと見ていたけれど、そういう意味なのではないのかな?

いろんな意味で格差が開いているせいか、少子高齢化のせいか、それとも将来に希望が持てず、不安だらけの世の中のせいか、離婚する人は一昔前と比べるとかなり増えた。

日本でも三組に一組は離婚するらしい。

中でも高年齢層の離婚率の増加は著しく、熟年離婚も珍しくなくなった。

それなのに世の中的には、まったく注目されていないし、めったにない特殊なレアケースで、とんでもないことのような雰囲気が支配している。

夫婦を扱った映画はたくさんあるのに、離婚を扱った映画はほとんどない。

すごく暗いテーマで、結果的にどうしようもない、救いようがないことになるので、映画では取り上げにくいのかもしれない。

そんな中、この映画はその辺に切り込んできているので、テーマ的にすごくいいと思う。

でも、やっぱりまともにはできないので、コメディーで、ということなのだろうと思った。

その点ではうまくいっていて、そんなに笑えるという程でもないけれど、そこそこ笑えて、惨い感じにならず、とても見やすかった。

だけど、書かないけど、最後がすごく気になっった。

あれはないと思う。

あれではこのテーマでやった意味がなくなってしまうし、面白みも深みもなくなってしまう。

続編ありき、シリーズありきで、今回はここまでということらしいのでやむおえないのかもしれないけれど、単独の映画としてはちょっと納得できない。

山田監督は家族がメインテーマなのだから、家族のいい部分ばかりではなく、暗くてどうしようもない部分もしっかり描いてほしいです。

Push6700