「悔しいかな面白い」家族はつらいよ saburoさんの映画レビュー(感想・評価)
悔しいかな面白い
客層は40代以上が基本、シニアも多かった。
最初始まったときは、向田邦子作品みたいな人情系の感じで、『これはやばいぞー』と思ったが、最終的には、面白かったと言わざるを得ない結果となった。
とにかく、度重なるナンセンスな一挙手一投足がだんだんツボに入ってきて、中盤では軽く声を出して笑っていたくらいだ。
途中気づいたが、ぼくは、「男はつらいよ」「釣りバカ」などのヒューマンコメディー邦画を今まで観たことが無かった。
というわけで、新鮮味の全く無い映画に新鮮さを感じてしまった。
ある意味、松竹が今回最も求めた客層だったのではなかろうか。
そう思うと、まんまと映画会社の思惑にはまった感じがしてくやしい。
作品を総じて言うと、「ぬるい」だったと思う。
もし、現代の家族の抱える問題や、過去からの変容を、この作品で描こうとしたとなら、全体にトーンがぬるかった。
熟年離婚、独居老人、相続問題、ニート、少子高齢化、空き家問題、介護問題などなど、あらゆる問題が一応、劇中内で少しだけ触れられるが、基本的にはとっても幸せな家族が織りなす物語である。
家族はつらいよ、なんていいながら、結局、幸せな家族の贅沢な悩み程度の話だったわけだが、それが逆にリアルで、肩に力入らず見ることが出来た。
コメントする