プリデスティネーションのレビュー・感想・評価
全62件中、41~60件目を表示
永遠の孤独のなかで
自分を傷つけ、自分に恋し、自分を抱き、自分を産んで、自分を殺す。
すごい話だ。
唯一の理解者である自分自身しか愛せなかった人間なのに、最後にボマーとなった自分を受け入れなかったことでメビウスの輪が完成してしまう。なんて悲しい。
鶏が先か卵が先か。
自分で自分を産むというのは、始まりがないに等しいので現実には有り得ないのだが、この背徳さが物語に異様な深みを与えている。
未来もなければ過去もない。永遠の輪の中をグルグルグルグルと廻る、ジョンの人生。
矛盾が生んだ存在。凄く切ない。
結局引退した後も、ボマーとなって過去や未来を行き来しつつ、自分を出し抜くのだから。
最初は語りで始まる展開に訝しく思いつつも、次第にバーで語るジェーンの数奇な人生に引き込まれていった。
見ながら頭をよぎったのは、バーテンはジョンではなく爆弾魔で、冒頭で失敗したジョンは整形で爆弾魔そっくりにされてしまったという筋書き。バーのシーンは炎で焼かれる前のジョンが、バーにきて爆弾魔を追い詰めるという過去を描いているのかな?と。
しかし、話は私の予想のはるか斜め上を越えていった。
後半は怒濤の展開に鼓動も早くなり、ジョンがベンチに戻ってくる辺りで真実に気がついてからは、言いようもない哀しみが胸を満たしていった。
この時空のパズルを、二部構成でみせたのは素晴らしい。全く違う映画を二本見た感覚に襲われた。
私のなかでは久々のSF傑作。
玉子が先か鶏が先か
ポスターと内容が違いすぎてびっくりしたけど、面白かったです。全く顔が出てこないという手法のせいで犯人と主人公、JaneとJohnが同一人物であること、さらにその先の事実まですぐに気がついてしまうけれど、なかなかハラハラさせる展開です。
期待以上!!
ありきたりなタイムトラベルものかと思いきや
最初は二人の人物の昔話から始まり
その話がかなり長い…w
でもその内容に徐々に引き込まれていく。
最後は全部が繋がり結局はたった1人の物語!
個人的には傑作だと思う
ブルーレイ、吹き替えで視聴
キャッチコピーに惹かれ、イーサン・ホーク出演ということでレンタルショップで借りたものの、B級とまでは言わずも少なくとも日本ではあまり注目されていない作品だったのでそこまで期待はせずに見た。
だが序盤少しの設定説明が描かれた後、男2人でバーで昔話をする流れが続き、まったくSF感がない。だが、それでもその男の波乱万丈の昔話、過去の描写、聞いてるイーサンの表情、音楽とどれも素晴らしく見入ってしまう。
そしてついに時空を飛ぶ展開になるのだが、そこで衝撃の事実が視聴者に提示される。自分はここで度肝を抜かれてしまいそこからは夢中で画面をじっとみているしかなかった。
映画を観終わった後も例えば、自分と性転換した自分との間にできた子供はそのまま自分の姿になるのか?とか特典の役者インタビューで「バーテンダーと未婚の母は別人」と言っていたがどういうことだ?とか色々思考するのが面白くそしてあ、そうかと考えが答えに行き着いたときこの映画(原作)の凄さにさらに気がつく。
SF映画はVFXを多用し、大迫力な映画が多いが話しは単純でどうってことの無いものが多い、自分もそういう映画は大好きだが、この映画のように絵ではなく話、見せ方の迫力が凄い映画は貴重だと思う。
時間が短いのも凄く有難い。
この映画の平均レビューがルーキーズとほぼ変わらないのは個人的には本当に理解できない。
種明かしの快感と混乱が同時に訪れる快作。
この映画、超弩級のパラドクスを前提にしたワンアイデアの解りやすさと、考えれば考えるほど解らなくなる複雑さが奇妙に同居している。
以降、何を書くにもネタバレは避けられないので、これから観るかもしれない向きにはご注意を。さて、この一文がすでに序盤の驚きをひとつダメにしてしまうのだけれど、本作はほとんどイーサン・ホークとサラ・スヌークのふたり芝居で成り立っている。しかも、どちらも相当な難役だ。前半のほとんどがバーでの会話劇で、回想シーンくらいしか動きがない。SF映画らしいガジェットもない。なのに、あれよあれよと引き込まれてしまう。
ぼくは知らずに観たのだけれど、原作はかの有名なハインラインだという。観終わって即、amazonでポチった。中短編集の一篇で30ページほどしかない。骨子はほぼ原作のままなのだけれど、この小説には映像化する上でかなり深刻な問題がある。バーでふたりが出会うシーンがそもそも撮れない。そこで導入されたのがフィズル・ボマーという爆弾魔の存在で、問題を解決するだけでなく、映画オリジナルのさらに皮肉なパラドクスに繋げている。これは巧い。
バーでの長い長いひと幕が終わった途端、めまぐるしいくらいに時空を移動しながら、次々と真実が明らかにされていく。それは、ほとんど究極といってもいいようなパラドクスで、主人公の生から死に連なる円環は時系列には起こり得ず、すでに閉じた状態で同時に出現しなければ成り立たない。この倒錯したウロボロス的なメインアイデアを面白がれるかどうかで評価は割れるかもしれない。そういう意味では、人を選ぶ作品だと思う。もちろん、ぼくは大好きだけど。
著者の発想
一言でいうと、作者のペースに飲まされる映画
タイトルの横にかいてあるキャッチフレーズとは趣旨が違うように感じて、思った方向とは全く別のストーリになっていった
タイムパラドックスを描いた作品の中でも、奇抜な発想で素晴らしかった
ジョンがジョンとの間にジョンを産みそのジョンがジョンを産ませ、ジョンを殺すというオチは息を飲んだ
驚愕のオチ!
これぞタイムパラドックス!という映画。でもこの映画のすごいとこは主人公的な人(イーサンホーク)、パブに現れる性転換で男になった悲惨な運命の元女性、その女性が恋に落ちる男、赤ちゃんを奪う男、奪われた赤ちゃん、自分を救う男、はたまた追い続けてた爆弾魔まで全て自分だった、というオチ。全員かーい!!んなアホな!!!『ドラえもんだらけ』みたい。
とりあえずもう一回観たくなります。
辿り着くのは…。
以前、劇場で配られた冊子のコラムに今作のことが書かれていた。
うわ、またE・ホークかよ!と俄然観たくなった一本。それが今回
地元で観られるという悦び♪さらに鑑賞後に湧きあがるこの切なさ。
ロバート・A・ハインラインの短編『輪廻の蛇』を映画化したもの
らしいが、原作がどのくらいよく出来ているのか確かめたくなった
人は多いんじゃないだろうか。所謂SFサスペンスにはなるのだが、
前半~やたら静かな喋くり劇場のように延々酒場での告白話が続く。
冒頭でドカンと一発アクション劇があるんだけど、それはまだ謎。
これは一体どうゆう話なの?と思わせておいて、中盤~カラクリが
どんどん紐解かれていく。これがまたよく出来ていて惹き込まれる。
登場人物は異様に少なくて、バーテンダー、青年(性転換前は女性)、
そして鍵となる名前ロバートソン。連続爆弾魔を追って明かされる
衝撃の時空警察の話。奇妙な恋愛→出産→誘拐→性転換の話。など、
はじめは何のこっちゃ?と思わされる告白が、あとでスッと一本の
軸で繋がる。ラストの衝撃には度肝を抜かれるが、なるほどそうか、
と自分の記憶を点と線で思い起こしながら繋げていくと、前半での
ダラダラ~っとした話の中に幾つもヒントがあったことに気がつく。
いや~、やられましたな、これは。と思わず膝を叩きたくなる感じ。
予備知識ゼロで観た方が(ネタバレできないし)衝撃度満載で面白い。
主演のイーサンもさすがだが、何といっても新生S・スヌークの凄さ。
難役を、愛らしくもカッコ良くも切なくも激しくも演じ切っている。
この一本で彼女のファンになってしまう男性陣も女性陣もいそうな
この感じ^^;が堪らないな。まぁいいから観てみて♪とお薦めの一本。
(卵が先か鶏が先か、自分の尾を食べる蛇、怖くて激しくて切ない…)
違いますよ!本作はどんでん返しSFではありません!
ロバート・A・ハインライン原作「輪廻の蛇」の映画化。
本作はどんでん返しSF映画にあらず。
数奇な運命に翻弄される悲しい女性が、
絶対孤独の中で漸く愛を見つける物語です。
それは究極のナルシシズム。
ナルキッソスもこの方法を知っていれば、死なずにすんだ筈です。
ホーキングもキップもびっくりの、この斬新な愛を見つける方法。
"自分を本当に愛せるのは自分でしかない"という結論に震える。
登場人物達の雁字搦めになった糸を解くのに、脳が捻れて千切れそうになるくらい考えました。
たまにはこんな脳トレもいいですよ。
プロモーションのミスリードで、イーサン・ホークが飛び回るSFアクションものかと思いきや違いました。
本当に良くできたメタSFです。
サラ・スヌークの個性的な魅力に惹き付けられます。
力一杯、オススメします。
派手さは無いけど面白い
レビュー読んで意外に高評価が多かったので観に行きました。
派手なアクションが好きなので淡々と進む物語が若干不安でしたが、派手さはないものの伏線を回収し始めてからはあれよあれよという間に引き込まれていきました。
話がややこしいので細かいところはDVD出たらもう一回観たいなと思います。
ラストが少し物足りなく感じましたが面白かったです。
それから、ジョンを初め見たときにカッコいい俳優さんだな〜!と思っていたら女性が演じていらっしゃることに途中でようやく気付きました。演じ分けが素晴らしい!
主人公が健気すぎる
ポスター見てゴリゴリのSFアクションを
想像して観に行ったら全然違う!
SFはSFでも「ガタカ」みたいな
こじんまりとした人間劇。
過酷過ぎる宿命の中主人公がひたすら健気で
泣けます。
いくら映画とはいえあんまりだ!
あまりの不憫さになんだか具合が悪くなりました。
今、病床でこれを書いてます。
ちなみに映画見て具合悪くなったのは去年見た
「ダラスバイヤーズクラブ」以来。
あの時は悪役の極悪非道っぷりと
ノンフィクション物という絶望的な現実に
胃が痛くなりました。
ジェーンは過酷な宿命が待っていると
知りながら結果的には
生まれてくることを自ら選んでいるんですよね。
さらには過去の自分に愛を説き
レコーダーで自分に語りかけ続け
未来は明るいと言い
愛に憧れ
最終的には宿命にけじめを付ける。
あの場でおじいちゃんイーサンが
驚いていたということは
彼は宿命に逆らった選択をそこでしたということ。
よく人間は一人じゃ生きていけないって言うけど
私はそれちょっと暴論だと思うんです。
孤独になることだって時には必要だし
そもそも
孤独にならざるをえない人間だっている。
何が言いたいかっていうと私はジェーンの人生を
称えたい。
勉強も運動も頑張って
容姿にコンプレックスを持っていたのに
キレイに成長して
セクハラにもイジメにも耐えて
体が変わっても生きる術を探して
愛なんてクソ喰らえだ
目標が欲しいと言って自分を鼓舞し
散々痛い目にもあったのに
仕事にまい進し最後は宿命を自らの意思で変えた。
彼女があそこまで目標にこだわったのも
この仕事をすれば人命救助という
究極の社会貢献が出来る
という気持ちがあったからでは?
彼女はずっと人間として
死ぬほど努力していたんです。
本当に健気過ぎて。。。大好きだ!
映画自体は暗いけどちゃんと希望を
持たせる最後だと思います。
というか
自分の楽観思考を総動員して
彼(彼女?)の明るい未来を想像することにします。
映画を観終ったらその後を想像するのは
個人の自由ですもんねーだ。
ジョン、もしくはジェーン、未来は明るいぞ。
「卵が先か、鶏が先か」
今思っていることを、ひとつでもしゃべれば、それはすべてネタバレのたぐい。
とにかく、テンポが抜群。
はじめのバーのシーンでゆっくりと流れた時間が、何度も時空を超えながら徐々に明らかになる過去と、爆弾犯を追い詰めるスリルのおかげで、緊迫感が上昇していき、衝撃のラスト。
あいつがこいつで、こいつもあいつで。「卵が先か、鶏が先か」、それに尽きる。
原作タイトルの「輪廻の蛇」こそ、ストーリーの本質。
で、たぶん、はじめ、ジョンが男だと疑わなかった人は多いはず。途中になっても、女性的な肉体だな、とぐらいに思っていた人もいたはず。そして、最後までジョンがリサ・スヌーク(ジェーン役)の二役だと気づかなかった人もいたはず!
そう、ここにひとりいますので。
これぞタイムパラドックス
爆弾魔の犯行を阻止するため過去に飛ぶ捜査官の話。
これはポスターから伺えるあらすじですが、
本作はこんな簡単な話じゃなく、
運命のいたずらをこれでもかと描いてます!!
最初はある男の人生の話から始まりなんだこりゃ?って感じ。
そこから怒涛の展開!
翻弄される主人公、無意識なのか意識的に過去と未来をつなげようとする主人公。
やはり運命は変えられないのね。
ラストの後はどうなってるか謎です、あれも輪廻なのかそれを断ち切ったのか。
分かる方は教えてください!!
素晴らしい
オーストラリア映画ということもあって低予算でうまくまとまった作品の印象。間違ってもハリウッドのアクション映画のような規模感は期待すべきでない。
加えてアクション映画のようなポスターだが、実際のところはストーリーの伏線回収と綺麗な映像や古き良き時代のアメリカの雰囲気が楽しめる映画であって、ドンパチを見るような映画ではないのは確か。
ストーリーの伏線回収は見事で、非常に鮮やかだったし、サラスヌークとイーサンホークの演技は本当に光っていた。ただ、このようなやや難解とも言えるストーリーは好き嫌いが分かれるはず。好きな人にはたまらない映画であることは間違いない。
一度最後まで見た後に、あの時のセリフはこれを暗示していたのか!と節々を思い出すことができるので、個人的には一度の鑑賞ではもったいないと思ったくらい。
具体的に例を出すと、顔を大やけどして治療を受けた後に「この顔じゃ俺の母親でさえ俺だとわからないだろうな、、、」と主人公が鏡を見てつぶやく場面は、後から考えればなるほどである。
もう一つ例を出すと、病院で自分の赤ちゃんを連れ出す直前、上司がタイムトラベルでやってきて、「緊急事態の時だけ今でもタイムトラベルをするんだ」と主人公に行っていた場面。これは恐らく主人公が自分の辛い人生を鑑みて任務に対して弱気になり、赤ちゃんを1945年に連れ戻さないという選択肢が生まれてしまう世界が存在すること、そして上司がその分岐を緊急事態と考えて食い止めようとしていることが示唆されている。
予算の少なさは画面から伝わってきてしまうが、脚本は非常によく練られていて、一見の価値があるのは間違いない。
それにしても人生の悲哀を感じさせてくれる映画だ。世の中そんなもんさ、と一言で片付けられるような、そんな楽な人生など存在しないということを、映画を通じて教えてくれる。
よかった
タイムマシンがかっこよくて、時空を跳ぶと体にダメージがあるところも感じがよかった。空間から突然人がいなくなるとその体積分気圧が変わるのか、突風が吹き荒れるような表現もよかった。タイムマシン開発の前後53年しか跳べないのもよかった。
主要な登場人物が、実質的に一人だったというのはあまりに閉じた話で、もうちょっと社会性と言うか社会との関わりも描いてほしかった。娘時代はまだいろいろあったけど、おじさん時代は管理の人としか深いかかわりがなかった。
面白かったし表現もしっかりしていたけど、どこが始まりなのか考えても答えが出ず、そうなると結局「だからなんだ?」と思う。なんでそんな話に熱心に付き合わなければならないのだ、勝手にやってろとも思う。
ただ、タイムトラベルはしてみたい。今タイムトラベルしたいと思っているのは岡田斗司夫さんであろう。トラブルの元凶を全て解消してうまいことやり直したいはずだ。
登場人物に魅力が感じられませんでした。
レビュー評価が高く楽しみにしていたのでずが…
前半の長すぎる基本ストーリー自体に魅力が感じられず。
核となるループを描きたいがために、人物の心理状況がおざなりでバランスが悪い。まず、自分が自分に恋をするって… 生理的にダメで感情移入出来ません。
そうなると結局グルグルしたいだけじゃん!て感じ以外なかった。
運命
Predestination とは、キリスト教でいう「予定説」(最後の審判で救済される人間ははじめから決まっている、という説)、もしくは運命、宿命の意味。
まさにこのテーマの映画で、予告の文章にあるようなかっちょいい爽快SFアクションとは全然違う、重く厭世観ただよう内容。
荒唐無稽な設定ながら、演技や映像が非常にリアリティがあって、ありえない話なのにありえるように見えて面白かった。
原因が結果に、結果が原因に、という逆転現象があちこちで起こってわけがわからない状態になっているが、結局主人公の運命は変わらない、変えられない、ということなのか。
この世界観において、歴史が変えられるのかどうか、というのは大きな謎だ。そもそも時空警察のようなものは、犯罪者によって変わってしまった歴史を修正するための組織のはずだし、作中にも歴史の分岐点を作ることは犯罪になるというセリフがある。
ということは歴史は変えられる、はずだが、なぜか主人公にまつわる歴史はまるではじめからその道筋が決まっていたと解釈しなければならないように思う。
少し深読みして解釈すれば、主人公のような歴史から切り離されたループ的自己完結的な存在そのものがありえないのだから、おそらく歴史が変わる前の本来の歴史がもともとは存在していたはずで、何度も複雑な歴史操作が繰り返された結果、ループ的因果関係がどこかの時点で発生し、そこから主人公の歴史変化が止まった(運命が設定された)ということなのかもしれない。
この映画は、運命についてなにか重要なことを示唆しているようにも思えるし、そうでないようにも思う。ただ、人の一生ということについて考えさせる。
親、子、憎む人、愛する人、上司、部下、みんな実は違う時間軸の自分だ、というのは、なぜか現実の人生にもあてはまるような気がする。
そして、時を経ると不可逆的に賢くなるわけでもない。未来の自分を否定することや、過去の自分を尊重することもまた大事なはずだ。
全62件中、41~60件目を表示