「たくましい」私たちのハァハァ フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
たくましい
四人の仲良し女子高生がライブを見に福岡から東京まで行く話
素晴らしいロードムービーだった。
田舎の女子高生が勢いで東京へ出発する、見ていてあまりの無計画さに心配するが本人たちはどうにかなるだろうと楽観していて、そうか彼女達は無敵なんだと実感した。
怖いものが無いのは、怖いものを知らない事と同じなんだと思った。
そんな無敵の彼女等も東京に近づくにつれて現実を思い知り、挫折、喧嘩、社会の厳しさを知っていく。
とあるライブを見にツイッターやフェイスブックを使って協力者を募る行為は当たり前のように行われる、時代はかわったなと思った。
新しい時代に生きる若者と自分は明らかに違う時間を生きているがこの作品ではなぜが共感してしまう。
自分の青春の日々、無敵だった頃を思い出してしまうからかも知れない。
若さゆえの馴れ馴れしさ、失礼さ、に腹が立つ所もあるが、自分もそうだったかもと思うとなんだかほほえましい。
最後のライブでの行動は正直いただけないが、有りうることだなと思った。迷惑行動だろうと周りが見えないのあから仕方ない、周りが見えるようになってしまえば出来ない事だから。まあ迷惑の代償を払わされるであろうがそれも大人への一歩だろう。
ネットで拡散されいつまでも晒される時代は終わった、バカな行動をして永遠に記録されたとしても記憶はされない時代になったんだなとつくづく思った。
人の噂も七十五日とはよく言ったものだ。
作品を通して随所にあるあると言いたくなるし、こんな奴いたなと全治的に思えたしなぜだか優しく楽しく見れた。
日本でしか見れない平和な旅、いつでも逃げ道がある、守ってくれる人がいる世界。親の恩恵を自分も受けていたし、当たり前だと思って育った。そんな守られた世界から彼女たちは少しだけ飛び出した。
自分にはできない事だから、少し羨ましい。
自分が旅をするなら予算をしっかり決めて、後で困らないようにと考えたり、怖い思いをしたくないからとしり込みするだろう。
彼女達の行動を客観的に見れば「なんて馬鹿なこと」と思ってしまう
が、自分に出来なかったことをしている姿勢は少しだけ尊敬できる気がした。
フィクションでありながら実際に起きている事を取り上げた本作は衝撃的だし刺激的なので面白かった。それに、現代の若者像の一部が垣間見れて本当によかった。
就職して社会に出た大人、今学生の人達にいい刺激になる作品だと思う。
劇中セリフより
「世界何にも変わってない」
自分が見ている世界と他人が生る世界は違うと思い知る
世界は広くて狭い、見えている物だけが全てではない、でも見えていない所は自分に関わらない。
見えない所まで無理に見たいとは思わないが、見えない所が確かに有るのだと認識しておきたいと思った。