「舞台芸術の高品質の映像化」ビリー・エリオット ミュージカルライブ リトル・ダンサー Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
舞台芸術の高品質の映像化
イギリス映画の記念すべき名作「リトルダンサー」のミュージカルライブ。舞台出身のスティーブン・ダルドリーがその真価を余すところなく見せ付け、リー・ホールが脚本・歌詞を練り上げて、エルトン・ジョンの音楽がまた素晴らしい。すべてが揃う三位一体のミュージカル。ライブ映像の単調さを補うカメラワークも良く、生の舞台で得られない迫力もある。ビリー役のエリオット・ハンナの演技力とダンスの切れ味と、ウィルキンソン先生役のラシー・ヘンズホールの歌唱力と豊かな表現力が、特に素晴らしい。初舞台から約10年磨き上げた完成度に感服しかない。
第一幕は、Solidarityのバレエ教室と組合ストの攻防が重奏するユーモアと音楽の高揚感と、クライマックスのAngry Danceの迫力ある演出とビリーの限界に挑むダンス。
第二幕は、Dream Balletのオールドビリーとの「白鳥の湖」でチャイコフスキーの曲を生かした舞台ならではの表現と、Electricityではビリーのダンスへの思いを爆発させる。そして、Once We Were Kingsでは炭鉱夫たちの挽歌が優れた舞台演出で歌われる。
見応えある場面の連続に拍手を惜しまない。
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