「.」脳内ポイズンベリー 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
.
自宅(CS放送)にて鑑賞。水城せとなの同名漫画を原作とし、揺れ動く心理状態を脳内会議と云う形で視覚化した恋愛ドラマ。少ない出番乍ら“山崎未歩子”役のともさかりえが佳かった。不満として、成河の“越智公彦”がつれなく見えたのと古川雄輝の“早乙女亮一”との破綻に至る過程が端折られ、いびつになる脳内の描写も唐突。ただ“櫻井いちこ”の真木よう子は脳内でテンパッた際、登場するクールなドSの男前“黒い女”を始め、ビックリした驚いた表情が印象的な上、クライマックスの別れを切り出す独白が忘れ難く魅せられた。70/100点。
・本作を評する際、よく引き合いに出されるピクサーの『インサイド・ヘッド('15)』は“ヨロコビ(声:A.ポーラー)”、“カナシミ(声:P.スミス)”、“ビビリ(声:B.ヘイダー)”、“イカリ(声:L.ブラック)”、“ムカムカ(声:M.カリング)”の表層的な五つの感情に対し、議長である西島秀俊の“理性(吉田)”、吉田羊の“ネガティブ(池田)”、桜田ひよりの“衝動(ハトコ)”、神木隆之介の“ポジティブ(石橋)”、浅野和之の“記憶(岸さん)”とより深層的な五つの感情となっている。尚、水城せとなの原作は'10年開始されている。
・成河の“越智公彦”は、原作版で見せる様々な男気あるエピソードが割愛されている。原作版では、結婚を控えた一年後がラストとなるが、本作でもその雰囲気のあるラストとなっている。オープニングと同じボタンを追い掛けるシーンが再登場するが、そこで出逢う相手は原作版と同じ彼氏を示唆する。そのヒントは、直前のシーンとアップになるスエード地の靴の先端である。エンドクレジットは、役名と共に可愛いらしく役柄を端的に表したワンポイントのイラストと共に流れる。
・鑑賞日:2016年6月12日(日)