「まぁまぁでござるよ!」世界から猫が消えたなら さずさんの映画レビュー(感想・評価)
まぁまぁでござるよ!
原作を読んでいましたが、そもそもそんなに奥が深い話ではなかったところで、さらに映像にしてしまうとさらに物足りなさが目立ってしまった印象。
全体的に、泣ける話でまとめてしまったのが、さらに「せか猫」の面白さをなくしてしまう....、悪くいうと「お涙ちょうだい」の
よくある映画として、こじんまりと収まってしまったという感じがしました。
映画は、佐藤健と、宮崎あおいさんの演技はとても良かったですが
私はレンタルDVD店の、濱田岳の演技が一番泣けました。
あと、おかぁさん役の原田美枝子さん!
個人的には、せっかく映像化するなら、もっと「せか猫」らしい
作品に仕上げて欲しかったです。
別に、格調高い泣ける感動作品である必要はなかった思います。
原作では、猫ちゃんがしゃべります。
猫:キャベツは、母の観ていた映画の影響で「ござる」と侍言葉を喋ります。
主人公:ボクは、猫のキャベツに、母のアルバムを見せて
「母ぁさんだよ」と、母の思い出を聞きたくて話しかける
シーンがありました。
しかし、猫:キャベツは「うーん、覚えてないでござる」と
あっさり.....。
すこし、がっかりしたであろう主人公に猫ちゃんは、
「しかし、とても幸せだったきがする・・・。」と答えます。
このシーンがとても「せか猫」らしく思えました。
この時の猫ちゃんの台詞は
シナリオの説明的な台詞ではなく、正直すぎる
リアリティがある、台詞に思えました。
読者の自分自身も、主人公と同じ気持ちで、がっかりしたのを覚えています。
ですが、続く台詞で、『幸せだった気がする』と
猫ちゃんが言った台詞には、とても説得力があり、とても救われた思いがしました。
テーマの主要部分とは、あまり関係ないシーンなのですが、そういうオリジナリティこそが、作品の魅力であり、だからこそあえて「せか猫」を観てみたいと思える動機になるようなきがするのですが・・・
そんなシーンが欠けてしまった映画「せか猫」は、世にたくさん氾濫している、「お涙ちょうだい」映画と、まったく変わらない
平凡な作品になってしまった原因に思えました。
猫:キャベツに映像のフォーカスをもっと当てる方が、より母の面影や、大事なもの(存在)、愛おしい存在が、いなくなる寂しさがより伝わりやすくなった気がします。
特に、小説を読んでいない人は、映画を見ただけでは、短い映画の上映時間では、猫や、恋人には、あまり愛着がわかないのでは・・・と思います。
元恋人役の宮崎あおいさんの存在は、大事なのですが、
二人の別れた理由や、「生きてやる~!」という元恋人の台詞は、構わないのですが
初見では、正直意味不明でわかりずらく、映画を観ている観客には、その深い意味や元恋人の思いはあまり届かないのでは?・・・と思います。なので、感動が薄くなるのだと・・・・。
感動作品は今後も是非観て見たいですが、オリジナリティが
欠けて、面白さが減ってしまっては本末転倒!
芸術作品は、作るものではなく、他者(みた人)が何かを感じ取って、芸術的と評価するもの!
あざとく狙ってはいけません。