劇場公開日 2015年11月7日

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起終点駅 ターミナルのレビュー・感想・評価

全57件中、1~20件目を表示

4.0秀逸なプロットと多角的表現のある作品

2024年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

含みが多く多角的に描かれた物語
タイトルにも多角的な意味が忍ばせてある。
主人公の鷲田は異動先の旭川の裁判所で、学生時代同棲していたサエコの裁判で顔を合わせる。
鷲田が昔の女に心を再燃させるのはわかる。その代償として、お金という点において、妻と息子に不自由させない甲斐性もある。
この作品が問題としているのは、「代償」という概念そのものなのではないだろうか。
鷲田のこの提案はサエコにとって「特別にいい話」のはずだ。
「ねえ、駅まで知らない人のふりをしましょう」
すでにサエコは決断していた。真っ白いコートは白装束だろう。
鷲田の前で汽車に飛び込んだのはなぜだろう?
サエコの心境が理解できない。
そもそも、鷲田が司法試験に合格したと同時にアパートを引きはらった。
彼女がくれた合格祝いの万年筆を今も大事に使っている。
鷲田は結婚し4歳の息子がいたが、毎月サエコが経営するスナックに通い夜を共にした。
サエコの心情だけがわからないが、彼女は自殺した駅を「終点」に選んだ。
冒頭 吹雪く無人駅 一人佇む鷲田 線路だけがくっきりと見えている。
このシーンの鷲田の髪の毛の前頭部は白くなっているが、後頭部はまだ黒いままだ。
サエコが汽車に飛び込んだ時、鷲田は逃げるようにホームの階段を掛け上がった。
それはあまりにも予想外で突然のことだった。誰もが似たような行動をとるだろう。
鷲田はこれをきっかけに東京に戻ることもできたはずだ。しかし、サエコとの約束を果たした。彼にとって釧路は「終着駅」だった。
結婚に愛はなかったからか? どうしても学生時代のことが忘れられなかったからか?
自分自身、もう二度と家族と一緒に暮らせないと思う彼の心の中に何があったのだろう?
さて、
冒頭の駅は架空の駅だったのだろうか?
夢を見ていたのだろうか? それとも、誰もいなくなったあの駅で、この出来後のショックによって髪の毛が真っ白になったのだろうか?
「私、何もいらなくなったんです」
椎名敦子の言葉
おそらくエツコは、この言葉と同じ状態になったのではないだろうか?
エツコの店「慕情」 少なくとも鷲田が来る日に客は一人もいない。
慕情とは、学生時代に背中を追いかけていた鷲田のことだったのだろうか? 覚せい剤に手を付けて去った男のことではないだろう。男が去ったのも、サエコの心の中にあり続ける憧れを見抜いていたからではないだろうか? 覚せい剤とは男の心情の象徴だ。
サエコの心を教えてくれたのが敦子だった、ということだろうか。
敦子は、鷲田との交流の中で自分自身を取り戻したように見えたが、そもそもなぜオオバマコトを探してほしいと言ったのだろう? 逮捕されれば大下組にリンチされずに済むと考えたのだろうか?
窃盗で服役中の老女が「あなた結婚してないの? だから人の気持ちがわからないのよ」というが、鷲田は敦子の問題に関わることで自分自身について教えられるのだ。
鷲田は妻と息子に責任を果たした。しかし、彼らを顧みようとはしない。彼にとってはお金で代償が賄われると考えていたのだ。
息子の結婚式にも「いかない」と電話で言った。それはもう過ぎ去った過去で、責任を果たしたことで「会う理由」もないのだろうか?
少なくとも「会いたいとは思えない」
敦子は帰省する覚悟を決めた。一緒に行った厚岸市の実家。両親と幼い兄の娘の位牌。
10年間戻らなかった間に起きていた出来事。その位牌を大事に持って出る敦子。
家族について思いが揺らぐ鷲田。敦子は釧路を出ることに決めた。彼女にとってそこが「起点」だった。
裁判所で森山判事補と会うたび、彼は息子の話をする。鷲田にとっての一人息子が森山と被ってくる。
息子の披露宴に参加すると腹を決めた鷲田は、大下組の社長の車で釧路駅まで行く。
道中鷲田は大下に変な話をした。
釧路にいた時間は鷲田にとって「量刑」の時間。その間、家族に対する責任に向き合ってこなかったことをようやく知った。鷲田が初めて実感した「代償」が示す意味。
「ずっと逃げていた」
「これから、一生かけて更生するしかない」
鷲田にとって終着駅だったはずの釧路が、今度は「起点」になったのだろう。
結局、
作家が創る人物像は、それなりにデフォルメされている。サエコが飛び込み自殺した理由は、仮に敦子の言葉が正解であっても、わからない。共感できない。
そこだけが唯一難しい点だった。
~以下はこの作品のことではない~
受賞作にはこの「共感できない」部分がよく登場する。
人物像を群像で表現されればよくわかる。その部分を光や闇で描かれると時にわからなくなる。
「光」とは何かを伝えるために闇ばかりを描く作品に共感できない場合、その感性は間違っているのだろうか?
闇しかないような人物像の原因に迫っても、描かれ続けるのが闇でしかないなら共感は生まれない。
共感を無視してまで描きたい闇こそ、作家の中の闇だろう。
その作品が一定数、いまだに受賞し続けていることこそが、日本文学界の闇にしか思えない。

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R41

3.5清々しいエンディング

2023年9月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

決して一線を超える事の無い「大人の恋」に思えました。
小さな伏線の仕掛けが効いていたストーリーでした。
シャープな本田翼はとてもキュートでした。
なかなか良かったです。

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tuna

3.0終着駅とは始発駅でもある

2023年8月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

心に傷を持つものたちが、それを乗り越えていく物語。
なるほど、終着駅とは始発駅でもあるわけだ。

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光陽

3.0尾野さんが頭から離れなくて。。。

2023年7月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

本田翼さんの映画ってことでセレクトしたのに、意に反して尾野真千子さんにやられてしまいました。
ずーっと心に残り、ぼーっと考えてしまう微笑みと涙、彼女は何を背負っていたのだろう、幸せになってはいけないのか、贖罪なのか?
本田さん演技がダメなわけではないのです。
尾野さんの存在感が大きすぎて、その後の物語があたまに入ってこなかっただけなのです。

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ピッポ

3.0日本的な

2022年12月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

淡々とした日本映画にありがちな作品で、一般受けする作品だと思いました。こういう北国が舞台の作品って、画になりますよね。日本の映画文化ですね。オチがなかったので、オチがあったら良かったのに。

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ミカ

3.5生きていてくれさえすればいい

2022年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

佐藤浩市扮する元裁判官の弁護士鷲田完治は、裁判官として大学時代の友人尾野真千子扮する結城冴子を旭川で裁いた事から再会するが、完治が東京へ転勤の折に身を投げた。釧路で弁護士事務所を開いた完治は国選しか引き受けなかったが、弁護をした本田翼扮する椎名敦子が訪ねて来た。
まるで人生を捨てた様な弁護士を描いた地味な作品に出る佐藤浩市も大した者だね。渋いな。
やっぱり弁護士やってると交際範囲も厳しい方向へ行くのかな。あまり関わりたくない関係が多いね。事件と紙一重だもんな。生きていてくれさえすればいい。そんな世界観になってしまうね。佐藤浩市が全ての展開だったよ。

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重

4.0ベテランと新進女優のコラボ

2020年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

難しい

『Fukushima50』を遅ればせながら観ることができ、今日本の映画界を代表する俳優お二人の演技の深さに感動しました。そんなわけでその中の一人、佐藤浩市さんの出演作をHDD内に探してこの作品を見つけました。
原作未読ですし事前情報もないまま観たので、最初は尾野真千子さんと佐藤浩市さんの関係が若干ふわふわしたまま本題に入って行った感じです。

「日本を代表する(映画界の)リベロ的ポジションを担う佐藤浩市さんが、本田翼さんからのパスをことごとく受け止め、時には指令塔となって若手女優の成長を見守った。」とここ『映画.com』にもインタビューが載ってましたがまさにその通りだと感じました。
若干心配なくらいの本田翼さんのセリフが逆にいい味を出していて、それを見事に受け止める佐藤浩市さんの懐の深さでいい流れにまとまっていたのではないでしょうか。
止まってしまった元裁判官の時間を奔放な若い女性が動かすきっかけを作ってくれた、とてもいい感じじゃありませんか?(私は本田翼さん、買ってます。個人的に)

中村獅童さんの贅沢な使い方、最近の映画で欠かせない和田正人さんや泉谷しげるさん、『Fukushima50』でもそうでしたがキラリと光る名脇役ですね!元箱根駅伝を激走した陸上選手だったり、フォーライフレコードを立上げた頃の怪しいフォークシンガーの面影はありません。(いや泉谷さんの怪しさは十分残っていますね)
『食べる女』の鑑賞後同様、美味しい料理を食べたくなってきました。

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marimariパパ

3.0真面目な弁護士の個人事情

2020年4月26日
Androidアプリから投稿

描きたかった主題がわかりませんでした。
恋愛ものだと思いましたが違いました。
真面目にいきることを映画にした感じです。

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くんくん

4.0昭和の日本映画ぽくて表情で察する全てを語らない

2019年11月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

モデル女優(本田翼)起用であまり期待はしてなかったけど、脇役の俳優陣が豪華なのと佐藤浩市の演技が好きなので鑑賞した。

まず冒頭の大学時代の彼女(尾野真千子)との再開で二人の静かでお互いを大事にしてる想いが細かい表情で読み取れたのまでは良かったんだけど、なぜ彼女があんな酷い自殺をしたのか説明不足な気がした。ここだけはもう少し丁寧にやってほしかったかな。それを背負って佐藤浩市が裁判官や家族を捨てて、細々とくらしてるのだが最後までひっぱって気になってしまう。

本田翼は演技こそもひとつだが(周りが演技派で揃いすぎてて余計に目立つ)若さと綺麗さと世間知らずな感じが出てて良かったと思う。
静かに進んでいく話だが深みのある話で昔の日本映画を思い出した。

シリアスで悪くない映画。

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minaizu

3.5簡単ではない、でも考えれば分かる内容やシーンで、複雑すぎず、かとい...

2019年6月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

簡単ではない、でも考えれば分かる内容やシーンで、複雑すぎず、かといって浅くはない良い映画だった。
最初BGMを聞いた時、幻想水滸伝2かと思った。

尾野真千子なぜあんな事したと思ったけど、それも佐藤の事を想いすぎて辛さや寂しさや佐藤の為にはならないと思っての行動だったのかなと。
でも結果それが佐藤を縛り付ける事になり佐藤にとって人生の終点駅となってしまった。
その後本田との出会いから様々な事を感じ、思い、息子に会おうと北海道から出てみる決心をし、再起のきっかけにもなった駅。

どうせまた本田とデキるんだろとか思ってたけどそうじゃなく真面目な普通の流れだった。
本田が多少厚かましすぎるけどまともに育ってなさそうだからその辺の常識やマナーがなってないのはそういう事だろうと飲み込んだ。
最後まで真面目だった佐藤が、また前向きに生きていけそうな終わり方で安心したし良かった。

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かぼはる

3.5生きてさえいればいい!

2018年11月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

難しい

一日の長さはみんな平等にある。
時間の使い方や思いも、人の数だけあって良い。
背負うものも人それぞれ、みんな1つや2つある。
どんな人も、生きてさえいれば!
生きていてくれさえすれば!

美味しそうな数ある料理のレパートリーが、一緒に作りたくなります。
ザンギ、棒々鶏、いくら、新聞のスクラップ、主人公のマメさが窺えます。

いくらを泣きながら食べ、出発する主人公には前向きさを感じ、もらい泣きしました。

小林武史の音楽が、寒い北海道を更に引き立たせていました。

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みーち

3.0桜木さんファン

2018年1月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

桜木さんの作品多数読んでたので見に行きました。
本田翼の演技が下手すぎ、いちいちイラッとしました。台無しです。

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きょん

3.5ミステリーじゃないのに謎が多いのは何故?

2017年10月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

佐藤浩市さん出演だったので、ちょっと期待しすぎました。

愛する人を亡くして寂しく生きる孤独な弁護士の話なんでしょうが、細かい部分がよく分かりませんでした。

愛人の死の真相とか、突然現れた薬物中毒の若い女の依頼とか、ちょっと御都合主義な要素が見え隠れしている感じがしました。

さらに疑問だったのが、何十年も遭っていない息子からの結婚式の招待状に、感謝の言葉があったこと。

不倫して行方をくらました父親に、感謝できるかなと色々考えてしまいました。

なんだか腑に落ちない部分がありすぎて、モヤモヤした気持ちが残りました。

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ガーコ

5.0家族

2017年9月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「愛を積む人びと」とイメージをダブらせてしまう作品!家族の大切さを考えさせられる一品!

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taka

3.0尾野真千子の行動が謎

2017年8月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

幸せ

まず、冒頭の尾野真千子の自殺の意味が分からない。どういうこと。佐藤浩市演じる主人公を釧路に縛り付けるという原因にはなったけど、それだけ?本田翼と何か血縁上関係があるのかとか色々と深読みしたが、本当に全く関係ないんだな。その無関係さにある意味驚き。
本田翼は可愛いかったけど、倒れるシーンはあまりにも不自然で下手くそだったな。
桜木紫乃の原作短編集は、過去読んだ記憶があるが、全く記憶にない(そもそも同作者の作品は個人的に読み難く苦手意識が強くあるのだが)。

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321

3.0原作は直木賞作家桜木紫乃さん。映画を観たら原作を全然読みたくないと...

2017年8月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

原作は直木賞作家桜木紫乃さん。映画を観たら原作を全然読みたくないと思います。
でも、ロケ地釧路の景色は綺麗ですね。

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kiyoharu

3.0イマイチ

2017年7月1日
iPhoneアプリから投稿

俳優さんとして好きな佐藤浩市さんの主演作品、そして今私の中では一番好きな本田翼ちゃんの映画ということで観てはみたものの、イマイチ想像とは違って感動するものはなかったかな(^^;
音楽を小林武史さんが担当してるというのも興味があって耳を傾けてましたが、こういうのも作れるんだ〜と思ったり(^^)

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SelfishCat

4.0自らに罰を

2017年4月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ずっと逃げていた。
そしてこれからはやっと自らに罰を与えて生きていける。

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上みちる

4.0深い

2017年3月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

本田翼目当てで見ました

ばっさーはやっぱり真顔で怖い顔にどこか魅力がある 他の女優よりも陰を感じさせられる

不明なところが多くてこちらの想像を促してくる
音楽がピアノで普通に良い

主人公の「罪」も人によってどこが起点かの考え方が変わると思う

深い映画でした

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マーベラー

4.0自分の罪には誰が罰を

2017年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

主人公(佐藤浩市)は裁判官で、旭川に単身赴任中だった。
覚せい剤関係の裁判で被告に立った女(尾野真千子)は学生時代の恋人だった。
再び燃え上がった二人は不倫駆け落ちをしようとするが、主人公の目の前で女は列車に飛び込む。
そして時間が過ぎ・・・。
主人公の抱える、罪から逃れようとする頑なな気持ちを開放する女性役の本田翼がとてもいい。

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いやよセブン