劇場公開日 2015年2月28日

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「悪魔が来たりて腹話術」アナベル 死霊館の人形 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5悪魔が来たりて腹話術

2015年3月22日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

大ヒット実録ゴシックホラー『死霊館』の中で、
ひときわ異様な雰囲気を放っていた呪いの人形“アナベル”。
なるべくなら知りたくないその誕生秘話を描くという、
ハタ迷惑なスピンオフ作が登場。

結論から言うと、かなり怖かった!
『死霊館』ほどの世界観の広がりは感じられないものの、
さすがそのスピンオフを名乗るだけの怖さはある。
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……というかそもそも、
アナベル人形は見た目からしてなんかもうハンパ無く怖い。
主人公である若い夫婦が買った時点ですでに薄気味悪いが、
とある事件をきっかけにアナベルさんはドス黒い雰囲気をまとった
顔面凶器人形へと勝手にカスタマイズされてしまうのである。

もうね、彼女の顔がアップになるだけで悪寒がしますね。
しかもこの映画のカメラはイヤラシイことに、
今にも淀んだ両眼をギョロリと観客に向けそうな
その気色悪い表情をたっぷり十数秒も見せつけるという、
ドS根性丸出しなショットを何度も見せてくるんですね。
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本作の作り手は、『怪異が襲ってくる瞬間』そのものより
『怪異の予兆』こそが恐ろしい事をよく理解していて、
執拗過ぎるほどの長~~い静寂で観客の恐怖心を煽ってくる。
目の前に怪異の姿をハッキリと見せた上で、
焦らして焦らして、突如ズドン!と攻めるこの手法。
感覚的にはジャパニーズホラーとアメリカンホラーの
合の子のような演出だろうか。

序盤で寝室の窓越しに発生する惨劇や、
ドアをぶち開けて突っ走ってくる少女、
何度閉めても同じ階で開くエレベータのシーンなんて
その最たる例で、目を開けているのがツラいほどの恐怖感……。
まあ、それに頼り過ぎて後半ややワンパターンに
感じてしまう部分もあるのだが、やっぱ怖い。
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物語の展開もストレスなく進む。
大抵のホラー映画の主人公は死亡フラグをホイホイ踏むが、
この主人公夫婦はアナベル人形をあっさり棄てたり、
怪現象が起こる家を引っ越したりと、割と行動的で
共感し易い(まあ結局は人形を置くワケだけど)。
特に夫の方は、この手の映画では珍しく聞き分けが良い。

主人公ミアを演じたアナベル・ウォリスはクラシカルな美人。
子どもを守ろうと必死になる芯の強さと同時に、
怪異に死ぬほど怯える脆さも感じさせる点が○だ。
ミアに手を差し伸べる黒人さんの優しさもちょっと泣ける。
根底にあるのはやはり家族愛の物語なんである。
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恐怖演出のバリエーションにもう一息欲しい気はするし、
中盤以降はオーソドックスな展開に収まってしまった点、
怪異の正体であるアイツの目的がブレブレな点は残念だが、
人形をモチーフにしたホラーとしては屈指の恐ろしさ!

以前4.0判定を付けた『死霊館』にはやや劣ると
感じるので 3.5判定としたが、ヴィンテージな雰囲気と
現代的な恐怖演出が楽しめる佳作だと思います。

<2015.03.07鑑賞>
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余談1:
『死霊館』のレビューでも触れたが、
本物のアナベル人形はとってもキュート。
人肌色のドラえもんに赤毛のカツラと白いドレスを
着せたようなほんわかした見た目である。
なぜか『アナベル』のパンフレットには写真が無いので、
興味のある方は『死霊館』のパンフかネットを参照されたし。
ガラス戸の奥にぎゅうぎゅう詰めにされたファンシーな人形の上に、
『DANGER!』という看板が掲げられているという、
世にもシュールな写真が見られるハズだ。

余談2:
それにしてもフランス人形とか市松人形とか、ああゆう
リアル志向のお人形さんて、なんであんなに怖いんすかね。
番組名は覚えてないが、幼い頃TVで観た怪談ドラマで、
真夜中に市松人形が噛み付いてくる、という話が未だにトラウマの自分……。
じゃあこんな映画観るなよという話だが、観る。

浮遊きびなご