「原題のタイトル「OPEN WINDOWS」の方がしっくりくる。」ブラック・ハッカー 林檎さんの映画レビュー(感想・評価)
原題のタイトル「OPEN WINDOWS」の方がしっくりくる。
ハッカーの話、ではなくて、画作りにこだわった作品。
それは分かるが、シーンがPCのウインドウを通して伝えられるため、どこか客観的、他人事のように映っていて、どうも映画・物語の中に入りづらい印象を受けた。
Youtubeなどでただ動画をタレ流しで見ているだけのような。
スリルあるシーンもそれが原因で緊迫感を感じづらくなってしまっている気がする。
脚本、物語の展開としてはどんでん返しが続く、が、驚きの印象は薄い。話は入り組んでるけど、どうも乗れない。
傲慢な女が酷い目にあい、目が覚める話。ただ大切な何かを見つけるんでもないし、最後までネバダは自分の機材や犯行に対する美意識だけで人間味も特に感じない。
狂ったジル追っかけの男は、今で言うアイドルオタク(狂)でただ気持ち悪く救いが無い。でも世界一(かどうか怪しいが)なハッカーを殺してサーバーを奪うとか、やることが凄い突拍子もない。器材奪っただけで他人のPCやホテルのシステムにハッキング出来るようになれるなら苦労しない。
画作りとその甘さ辺りが相まって、世界に没入出来ずに終わりました。
ただ画作り、そこにチャレンジした話題性はあったと思います。
いいなと思ったところは、現代の他人に対する好奇心というか、そういう所を扱ったシーン。
犯人に捉えられるジル。後ろには爆弾。それを追っかけサイトでライブ中継している。10秒後に爆弾が爆発する設定になっているが、そのサイトを訪れ中継を見ている人の半数が去れば(要するにそのシーンを見ない)爆発はせず、命は助かる、というシーン。10秒後の結果、サイトを去った人は10%のみだった。
凄惨なシーンを人が望んだってことでしょ。そういう好奇の目に晒されているのが常で、寧ろそれが当たり前とも言える。
だからこそ、ラストは「ほとぼりが冷めるまで」ではなく「ずっと」なのだろうが。
そのジルの心境の変化を追って見ていくと面白いかもしれない。