「褒めて伸ばす現在に一石を投じる作品」セッション えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
褒めて伸ばす現在に一石を投じる作品
『セッション』を鑑賞。
アカデミー賞にて三部門受賞した話題作であり、「バードマン」に次ぐ注目作でもある。
名門音楽大学に入学したドラマーのニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。だが、フレッチャーのレッスンは完璧を求め、わずかなテンポのズレも許さない狂気のスパルタレッスンだった。
「バードマン」では肩透かしを食らったが、今作は違う。
凄まじい師弟関係に観客は最初から最後まで一瞬たりとも目を離す事は出来ないだろう。
いつ降板させられるかわからない中での厳しいレッスン、そして浴びせられる罵声。ニーマンが精神的に追い詰められていく様は実にリアルで胸が締め付けられる。完璧な演奏のみを求めるフレッチャーと、偉大な音楽家になりたいニーマン。二人の関係性は徐々に狂気に満ちて行く。
特に呼吸する事を忘れるほどの緊張感且つ鳥肌が立ちっぱなしの圧巻のラスト10分間は必見である。
褒めて伸ばす事が良しとされるご時世に、真逆とも言えるこの師弟関係、是非劇場でご覧いただきたい。
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