「実力でねじ伏せる!」セッション ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
実力でねじ伏せる!
アンドリュー vs フレッチャー なのだろうと理解した。
フレッチャーのパワハラし放題の育成方法はどうかしていると思うが、
彼なりに最大限に演奏者の能力を引き上げようとするアプローチが、
罵詈雑言を浴びせまくり&物を投げまくる ということ。
そして執拗なイビリ。
まともな人だったら、絶対関わりたくない、こんなやつ。
だが、
アンドリューは、偉大なドラマーになりたいというビジョンがあるから
絶対に負けないという不屈の精神、もはや闘魂と言っても過言でないほどの
ドラムへの執着で、家族にもあたりちらし、恋人も捨て(追ってアンドリューが捨てられるのが笑える)、
運転している車がトラックと衝突しても、演奏の舞台に立つほどだ。
他、いろいろなキャラクターが出てくるものの、基本はこの二人の構図。
そして、ラストで
まずはフレッチャーの恨み節&陰湿な嫌がらせリベンジ。
これは高潔な音楽家ではもはやない。私はここでフレッチャーの底を見た気がする。
実に残念だった。今までのパワハラの極みここにありだが、目的が復讐になっているので
この時点でフレッチャーは音楽家ではなくなったと思う。
この嫌がらせに、アンドリューが実力でねじ伏せる終わり方は実に素晴らしかった。
ねじ伏せるというか、フレッチャーに音楽の楽しさを思い出させるようなドラムソロであり、
ここからまたセッションが始まっていくという、秀逸なエンディング。
感服した。
実に観ていて疲れる作品ではあるが、このラストを観ることができて、とても満足。
10年前の公開当時に観たかったが、あらためて4Kで劇場で観ることができてうれしかった。