「恋物語に萌え。や、他にも見所ありですが…」駆込み女と駆出し男 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
恋物語に萌え。や、他にも見所ありですが…
満島ひかりは前からよかったし、この映画でもいい。低めに結んだ帯に、立ち方歩き方の所作も美しい。
でもこの映画では、戸田恵梨香が抜群に良い。specも観てるし、エイプリルフールも戸田恵梨香だけはよかったと思った。しかして、じょご役の戸田恵梨香にはかないません。いい役者だよー。素晴らしかったよー!
そして、大泉洋もよかったです。かわいかった。キムラ緑子とのかけあい最高でございました。笑った笑った。
とはいえ正直、お吟の駆込んだ本当の理由(惚れた男に死に顔を見せたくない、その男の涙を見たくない)には全く、全然共感しません。好みではない。
が、労咳(ろうがい、結核の事です)でやつれたお吟は美しく、その姿には見入りました。
堤真一演じる旦那の勘違いはよくわからないけど、お吟の真意を知ってなんか丸く収まってましたね。それはそれでええかと思いました。柏屋の前で読経するシーンはよかったです。
ゆうが駆込んだのは、わかります。あんな狂人の様な男に支配されていては生きながら死んでいるも同然。東慶寺にいる2年の間に敵討ちも思いとどまり、よかったです。
狂人夫の最後の凶行でじょごとゆうが怪我したらどうしようと泣きそうでしたが、薙刀の稽古の成果で取り押さえました!ブラボーです。皆さん頑張りましたね。
そして、じょごです。夫はDVモラハラ不倫のどうしようもない下衆で、雇人の手前、愛人宅に入り浸るなと頼むじょごに暴言を吐いて暴力をふるいます。そして妻を蹴って愛人を抱く…
ひどすぎます。じょごは据えかねて東慶寺に向かいます。道すがら怪我をしたお吟に会い、(お吟は籠持ちに手篭めにされそうになって逃げたのか?わからなかったけど)お吟をおぶって東慶寺に駆け込みます。
で、信二郎を追っ手と間違えて殴ってしまうという出会いです。
女たちの苦しみと、苦しみに寄り添う人たちとの交流が沁みるお話です。笑いどころも結構ある。早口で聞き取りにくいというのは確かですが、リアリスティックでわたしは嫌いじゃありません。
江戸時代の話で、フェミニズム的要素のあるお話を、男性が原案・脚本・監督していて、女が見て共感できる。やー、今までにありましたかね?そこがこの映画の一番の美点だろうと思います。
そして、予想もしていなかった信二郎とじょごの恋物語でもあった本作。やだわ不意打ち!ときめくわー!!!となりました。
じょごが信二郎に教わって薬草を覚え、東慶寺で読み書きを覚えてゆく姿には、力強く励まされる思いがしました。そして沢での逢引あたりから、じょごが信二郎を見つめる視線がラブ光線バリバリで、キュンとしました。
信二郎がなぜじょごに惚れたかはあまりよくわからなかったですが、教養を深め、精神も自由になり、輝く美しさを放つじょごに惚れるのは自明の理かもしれませんね。
ラストの信二郎まさか振られる?からの、江戸へ出るならお伴しますからの、じょごからの口吸いにもう劇場である事を忘れて、きゃーと声が出そうでした。キュンキュンしましたよ。
どうやらわたしは信二郎と同化して、じょごに惚れながら観ていたと思われます。
おゆきさんの想像妊娠そんなにすぐ腹がへっこむもんかえ?とか、院代さまは隠れキリシタンでええのよね?とか、姉妹入れ替わりの駆け込みの話がテンポ良すぎてわからんけどとか、玉虫のおててや足の悪いのと密偵やってたんと隠れキリシタンは繋がりあるの?とか、疑問は残ってはいますが、相対的に見てよかったです。
日本語字幕付きでもっかいみたら尚よくわかるかもです。
あ、言い忘れましたが、大好きな山崎努も可愛かったです。鈴がらんがらん。