「恋に練習曲はありません」恋のエチュード シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
恋に練習曲はありません
女性一人に男性二人の三角関係はフランス映画の定番だけど、今回は男性一人が女性二人の間で優柔不断に揺れ動くときたら、トリュフォー名物アントワーヌ・ドワネルの出番!と思ったら、二人の女性は姉妹でイギリス人と言う楽譜では、もはや練習曲なんてレベルではありません。この難曲と言うか難局を、さすがにトリュフォー監督は見事に捌いていて、数年にわたるフランス人青年とイギリス人姉妹の恋とも愛とも愛欲ともつかない、複雑な心境の変化を実に丁寧に描いています。イギリスの海辺に立つ邸宅の風景や姉妹の衣装デザインなども美しく、細部にまで神経が行き届いてます。エピローグで、過去の恋に囚われた男の惨めさをバッサリ切り捨てる幕切れもいい感じです。役者では、ジャン=ピエール・レオーが、繊細でいながらどこか傲慢な青年役を好演。姉妹の妹役のステイシー・テンデターもクールでいながら恋に狂う女性を見事に演じてました。
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