予告犯のレビュー・感想・評価
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ちぐはぐなキャラクター造形、演出
映画オリジナルのシーンも含め、原作が持つ悪い部分のみが殊更強調され、序盤から興醒めしてしまった。
作品のフックとなるネット配信を使った予告は、匿名のネットユーザーという、無責任な傍観者からの圧力を生み出す、とても現代的な仕掛けだ。
こういったある種のライブ性を持った題材を扱うに当たっては、美術やセリフの端々など、現代風俗に対するディテールにこだわりが増すことでリアリティーを獲得して行く。
予告シーン絡みの演出は必ずしも成功しているとは言い難いが、実際にニコ生等で発生した事件を視聴していたであろうユーザーのリアクションとしては近しいものがあり、演出もある程度のフレッシュさがあった。
(実際はもっと汚い言葉が画面を埋め尽くすと思うが)
しかし、マンガ的なキャラクター造形で、作中一番ファンタジーな役柄である刑事を戸田恵里香がそのまま演じる事により、作中のリアリティーラインを著しく下げてしまっている。
一本調子の説明台詞、刑事らしからぬ体格(しんぶんしを一人で追い詰めてどうするつもりだったのだろうか…そもそも何故あれだけ動員していながら応援を呼ばないのか…そして捕まえられないと分かるやヒステリックな負け惜しみ…)何より一番酷いのは、昭和の中年男性が夢想したような「バリキャリウーマン風」の風貌である。
作中の言葉を借りれば「なぁ、今って21世紀だよなぁ?」となる。
以降、しんぶんし側4人がどんなに素晴らしい芝居をしても、戸田恵里香が登場するシーンを挟む度、作品に対する興味と共にテーマの重みもひたすら下がって行く。
その他、意外とのほほんとしたタコ部屋、「安っぽい」という感想を出させる事以外に機能していない劇中CM、音声出力機能付きTwitterなど脱力する演出が続くが、しんぶんし側4(5)人の演技アンサンブルは、キャラクターがしっかり立っていることもあり、非常に見応えがあった。
(一人一人に無駄に長いカットで渾名を付けていく、という拷問に近い演出も、その後の自然なアドリブ台詞で成立させていた)
しんぶんし自体はとても魅力のあるキャラクターだし、現代日本でしか成立しない登場人物とテーマであっただけに、映画でこのような消費のされ方をしてしまったのは残念でならない。
よくまとめたで賞
私自身とても好きな作品だったのでどのように映画化されるか期待していたが予想以上に良かった。
まず、キャストがキャラクターのイメージ通りで違和感がなかった。そのためすっと入っていくことができた。
次に肝心の内容だが、多少の改変はあるものの映像的に流れをに綺麗に繋げるための改変であり許容できる。むしろ改変により、良くなっている部分(渋谷川での追走シーンなど)も何ヶ所かある。最後には綺麗に繋がって終わるし概ね満足だが、サイバー犯罪対策課のメンツが吉野にスポットを浴びせすぎて学さんと岡本さんのキャラがあまりだせていなかったのが残念。学さんがただのメガネだけみたいになってるし・・・。あと、メガネ繋がりで木村くん(ノビタ)のコミュ障っぷりがいくらなんでもオーバーすぎだw。
それでも全3巻の漫画をここまで映画として綺麗にまとめられていたのは本当に凄いと思った。個人的にラストは原作よりもスッキリとしていていい終わり方だった。
蛇足だが、私はプログラムを勉強中なのでゲイツの派遣時代の陰湿なシーンはかなりキツかった・・・。
とてもいい!!
地味にいい感じ
つらいけれど良い・・・
全体的にお話はよくまとまっていて
ストーリーのテンポもとてもいい感じでした
戸田絵梨果のあのはったりがきいた刑事
とってもかっこ良くで わくわくでした
ただ 原作ではもっと 生田君とそれにかかわる仲間の
関係とかが もっと 詳しく描かれていたのでしょうね
そこのあたりが あまり描かれてなかったので
どうして ラスト生田くんが あそこまでするのが
わかりませんでした
いや わかるのですが もう少し4人の関係が
描かれていたらもっと 感動したかもしれません
多分 3巻のコミックを2時間にまとめなくては
ならないので あれが ギリギリだったのでしょう
だからと言ってダメな作品とは思いません
最初から目が離せなくて 面白くて悲しくて
なによりもネット社会で起こる 問題をあらわにし
さらに 求人がネットをみれば 溢れるほどあるのに
就職できない人々が たくさんいて
とても つらい作品でした
主人公 生田くんのまわりには いいやつがいなかった
そんな彼に できた 初めての友達・・・
しかし その友達がこういう形でできてしまった・・・
もう少し 早くに素敵な仲間が現れたらと思うと
うわあ・・・
やはり つらいわ・・・
久々に心に残る作品
よかった!
切ない
まるで2本分以上の 新しい体験。
原作未読ですが、
早い時期からやっていた劇場予告で、
かなり期待して観ました。
理不尽な世の中に復讐する
クライムサスペンスかと思っていたら、
見事に裏切られてニヤリ。
「どんなに小さなことでも、
誰かのためになると思えば人は動く。」
原作がとにかく良くできている。
結末を予想させない、演出が上手い。
そしてポスターや予告篇の作りが、
確信犯的、作為的で憎い。
プロの仕事を感じました。
こんなにあたたかい
気持ちになれるサスペンスは、
もちろん初めての体験。
ふざけた日本の派遣制度にイラついて、
社会の孤独に切なくなって、
ネット社会が怖くなって、
展開にドキドキして、
愛情にホロリとして、
エンドロールでは爽やかな気持ちになれる、
まるで二本分の映画が楽しめる、
凄い構成です。
キャストが皆素晴らしい。
生田さんは恐ろしいキャラで
観客を置き去りにすると思ったら、
終盤は全員を味方につけている。
難しい役柄を、
深みをもって見事に演じきっていました。
メタボ役の大好きな荒川さんも、
さすがの存在感。
戸田さんも鈴木さんも濱田さんも、
ストイックな役作りでした。
公開3日目の新宿、
19時の回で観客はまばら。
みんなトゥモローランドに
流れてしまったのでしょうか。
けどこんなに邦画の傑作を、
見逃ししたらもったいないですよ。
優しい裏切られ感がありました
私は中村監督の感性が好きなんだと思います。『アヒルと鴨のコインロッカー』からずっと中村監督に裏切られた作品はありませんでした。
人の関わり方に、いつも優しい裏切られ感でやられてきました。
人の関係は時間でも距離でも密接度でもなくて、ましてや依存ではないんだなぁと思い知らされます。
この主人公もある一瞬で、恨む気持ちを転換してくれたその人の言葉に驚き、憧れて、魅せられて、その人を友達だと感じ、望みを叶えたくなったんでしょう。
切なくて、切なくて、なのにどこかで幸福感を感じられる。
この『予告犯』はそういう作品でした。
役者さんたちも最高でした。生田斗真さんはもちろんですが、窪田正孝さんや最後のシーンの荒川良々さんの素晴らしさに泣かされました。
本当にこの作品が大好きです。
益々中村監督が好きになりました。
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