「人は見た目じゃない!中身だ!と言う人こそブサイクと付き合わない」ストロボ・エッジ MOTTOさんの映画レビュー(感想・評価)
人は見た目じゃない!中身だ!と言う人こそブサイクと付き合わない
怖いもの見たさで観た作品。やはり裏切らなかった。
とりあえずアフターエフェクトで切り貼りした様な桜の雑合成は、昨今の日本映画を象徴する素晴らしいシーンというのは言わずと知れている。あの桜のイラストを貼っただけみたいなVFXはおそらく漫画という二次元へのリスペクトと解釈する。
主人公:仁菜子(有村架純)の事が好きな男(拓海)がいるが、仁菜子は“運命”を感じないのか拓海から少し距離を取っている。そんなある日電車でイケメン蓮(福士蒼汰)とすれ違い一目惚れし、仁菜子と蓮の恋物語が始まるわけだがまずそこで「あ、結局顔なんだな」ってまず思う。
拓海はたしかに少し暑苦しいところはある。原作だとチャラいらしい。けれど仁菜子に献身的で一途で、何も問題がある風には見えない。だが“運命”とやらか“勘”とやらなのか、蓮との距離を縮める仁菜子。
そして女子高生が好きそうなイケメンとのデートシーンが終始繰り広げ、最終的に仁菜子と蓮ゴールイン。いや結局顔かいと。仁菜子に献身的だった拓海が可哀想すぎて心が痛くなる。
だが拓海にも実は好きでいてくれる女の子がいて、終始その子には振り向かず仁菜子一途な訳だが、女の子がヤンキーに絡まれている所を拓海が救出。ちょっと良い感じになりかける。彼らの物語の方がグッとくる。
恐らく仁菜子が振って、拓海放置じゃ仁菜子悪者で終わっちゃうから、「拓海も救済されて物語が終われば万事解決!皆幸せに暮らしましたとさ」という言い分なんだろう。いやいや、仁菜子ただの面食いには変わりないよと。誰かが救ってくれればそれで良い感。すごい偽善だなぁと思ってしまった。
拓海と女の子、本当に好きな人はいたが、結ばれるべきは自分のことを本気で好きになってくれる目の前の人なんじゃないか。というちょっと切なくも深い恋物語な気がして拓海の物語が観たくなった。
だが少女漫画原作は甘くない。それよりも仁菜子と蓮が幸せになればいいんだという強引さで映画は終了する。
面食いをめっちゃいろんな言い訳つけて正当化して美しく見せた胸糞映画だった。しかし「人は中身だから!」と言いつつイケメンと付き合う、現代に蔓延る恋愛偽善者を体現している映画だったんじゃないかと思う。全ては見た目。啓蒙映画