「20世紀最大の犯罪芸術を目撃せよ!」ザ・ウォーク Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
20世紀最大の犯罪芸術を目撃せよ!
語られがちなのは、
3Dや視覚効果、手に汗握る迫力...。
だけどこれは、
「20世紀最大の犯罪芸術」を目撃する映画でした。
ワイヤーウォークに魅せられた、
フィリップ・プティの前代未聞の偉業。
この出来事はニュース映像で
見たことがあるけど、
詳しくは知らなかった
1978年の出来事です。
ただ不可能な夢を叶えるため、
突き進む主人公。
やっぱり実話だから、余計に熱くなるなぁ。
そのパワーに引き込まれる2時間。
彼の語りの回想で、
物語は転がり始めまるのだけど、
ありえない場所野設定も、
ゼメキス監督のエンタメセンス。
憎いですね。
山場はもちろん横断シーンだけど、
どうやってワールド・トレード・センターに
ワイヤーを架けたのかが、
まるでサスペンスドラマのよう。
綿密な下調べやフランスやアメリカの協力者集め、
警備をかいくぐっての物資運搬など、
ドキドキが止まらない。
そしていつの間にか主人公を
応援してる自分がいます。
そして
クライマックスのワイヤーを渡る彼に、
NY市民は熱狂。
美しすぎる恐怖に、見とれてしまいます。
そして全てをやり遂げた彼の気持ちに共感して、
爽快な達成感。
新しいものを次々と生み出してきた、
活気のある1970年代のパリや
ニューヨークを感じるのも楽しいですね。
フィリップ役の
ジョセフ・ゴードン=レヴィットが
名演でうまいなぁ。
彼は前作シンシティのギャンブラーエピソードで、
独特の孤独感を放ってましたね。
インセプションも良かったです。
この作品ではニヒルな世界観で
シリアスになりすぎず共感を誘います。
師匠役の怪優ベン・キングズレーも、
さすがの存在感。
前作のディーン同様、ハズレなしです。
僕は2Dで観たのですが、
かえってリアリティが感じられて良かったです。
3Dの方がレイヤーを重ねてる分、
CGっぽく感じてしまうからね。
ゼメキス監督の映像クオリティは、
真骨頂ですが、
退屈になりがちな実話を、
見事なエンタメに昇華させてるのも
手腕なんですね。
一見、ドキドキするエンタメ映画の
お化粧をしてますが、
「世の中を変えるほどのアートは、
狂気のなかでしか成立しない。」
そんな普遍的なテーマを見せつけられ興奮する秀作。
人生はエッジを歩いてこそ価値があるんだな。
クリエイティブな闘争心が呼び覚まされる映画でした!