「綱渡りは前衛的な芸術なんだ」ザ・ウォーク blackcatnyanさんの映画レビュー(感想・評価)
綱渡りは前衛的な芸術なんだ
主人公にとってこれほどおあつらえ向きの仕掛けはなかった なんせ同じ高さのビルが二棟並んでいるのだから しかしその高さと言ったら(^_^;)
そこで繰り広げられるおいおいやめてよそれはとスクリーンに向かって言いたくなる東京タワーより高い場所での大胆不敵なパフォーマンス 一方自身が身を任せるワイヤーには、疲れていないだろうかと気にする繊細な感覚 この大都会の真ん中の冒険的な行為は彼だけのものではなくて 新しいビルへの祝福でもあった モダンな設計思想を反映して整理棚と呼ばれていた無機質なツインタワーがニューヨーカーにとってみぢかなものになったのだ そしてそれは映画を見る者にとっては 単に高所の綱渡りということだけではなく 今はないタワーの悲劇を越えて たしかにあの二棟がNYに君臨したことを思い起こすことになる
自分にとってWTCは、LIVE中継中に崩れさった存在である それだけに映画などの映像を見るときどうしても崩壊していくイメージがフラッシュバックしてその存在が痛々しいものに映った だがタワーに命が吹きこまれる瞬間を見ることで WTCの背負った深いトラウマが中和され薄くなっていくことを感じることができた 綱渡りは芸術だとわからせてくれたこの映画はもちろん質の高い芸術である
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