「懐かしきWTC」ザ・ウォーク ko_itiさんの映画レビュー(感想・評価)
懐かしきWTC
主人公のフィリップが自由の女神で語っているのは、もちろん彼がフランス人だからだろう。
前半は泥棒もの。そして後半はスリリングな単純すぎる構成をゼメキス監督は得意のVFXを駆使して最後まで魅せきった。だけど、物語をお楽しみたかった人には不満かもしれない。
しかし、それこそがゼメキス監督らしさでもある。『抱きしめたい』や『フォレスト・ガンプ』だってそうだったじゃないのか。だから『ザ・ウォーク』もそうなのだ。
犯罪行為をしたフィリップに誰もが、警官までもが褒め称える。そして支配的だったニクソン大統領の挿話を入れることで、その時代が「自由と挑戦」にまだまだ好意的であったことが示される。
現代のアメリカにとってWTCは「悲劇」の代名詞となった感があるが、そんなWTCにもかつて「楽しい」話があった。これはそんな映画だ。
そして、それは今アメリカが「失いつつある」ものである。
そうゆう意味では、これは「自由と挑戦」があった時代へのゼメキス監督なりの敬意の表れかもしれない。
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